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  好転  







§§ 好転 §§

 体が火照って目が覚めた。
 うわぁぁ……
 そういえばお尻のディルドーそのまんまだったし、膣の筒も相変わらず不意に動く。
 体が楽になったぶん、余計なことに神経が回りはじめたようだ。

 あーん、なんでもいいからご褒美欲しいよぉ……

 でも状況が好転してきたようなので、もうすぐ昔の生活に戻れるかもしれない。

 手が自由なのでお股をいじるけど、当然空しく宝石をなでるだけ。

「ひーめさま?」
 毛布を被って悶々としている私の上から、日本語で声がする。
 ガバッと跳ね起きる。
「ニルさんっ!?」
「昨日は情けない姿をお見せしました。血が増えたみたいで、もうすっかり体調戻りました」
「もういいんですか? 早ッ!」
「切られた傷はもう殆ど無いです。姫様が助けて下さったんですよね?」
「うん…… だけどあたし…… おじさまを……」
「誰も話してくれませんでしたが、薄々気づいていました」
「あーーん! ああーん! あたし……! あたし……!!」
「私をそんなに思って下さるなんて…… 勿体なくて…… グスッ……」

 ニルさんも泣き出した。
 二人で抱き合ってしばらく泣いていた。

「エッ…… エッ…… グシ…… ニルさん、お父さんたちにこっちへ来てもらったほうがいいらしいんですけど、できますでしょうか」
「はい、私も体が動くようになりましたので、できると思います。一度あちらへ行って、ゆーちゃんと一緒に王様たちをお連れしてこちらへ戻ってまいります。2日ほどお時間を下さい」
「はい、よろしくお願いします」

「おはようございます! ジュリア王女様」
「オハヨウゴザイマス」
「王様は私がお連れすることになりました」
「おお、そうか。宜しく頼む」
「王女様はここでお待ちになりますか?」
「ホントハ、イロイロミテマワリタイノデスガ、パンツヲヨゴシツヅケテイルノデ……」
「……う…… そ、それは、ご、御苦労様です。替えを用意させましょうか?」
「ゼヒオネガイシマス。カエガアレバ、イロイロミテマワレマス」
「まずは大変お手数ですが、長老にお会いいただけますか?」
「ハイ」

「姫様、支度が整いましたので、行って参ります。お尻のカギ、ちゃんとお持ちですよね? 副首相殿、申し訳ありませんが手伝っていただける方を2人ほどお願いします」
「わかった。長老に伝えがてら、俺も手伝おう」
「ありがとうございます」
 妙にカルい副首相?の男とニルさんが病室を出て行った。

「はふー」
 薄いエッチな気分はずっと続いているけど、そのまま毛布に潜って寝直し。

 しばらく寝たら目が覚めた。
 パチッと目を開けると、正面から覗き込む皺だらけの顔。
「キャーーーッ!!」
「お、お、お、すまんのぉ。お、お、お、やっぱり姫様じゃ」
「コ、コンニチハ」
 ずりあがるように毛布の下から抜け出し、ベッドの背もたれにもたれて上体を起こす。
「あいや、そのまま、そのまま。おー、おー、おー、おなつかしゅうございます。覚えていらっしゃらぬか?」
「スミマセン。オボエテイル、トイウキオクハアルノデスガ、オモイデトツナガラナイ」
「んー、んー、んー、仕方ないのぉ。時に姫様、貴族院と衆院の会議で挨拶だけして下さらぬか。そのあと、王が戻られるまで、城内でも城下でもご自由に見てお回り下され。護衛の者も付けますゆえ」
「アリガトウ」
「お、お、お、では、このあとすぐ臨時開院の時間じゃから、お体が良ければこのまま一緒に来て下さらぬか」
「ハイ」
 ベッドから降りて、床に立つと、ちょっとフラッとするのと、膝の関節がギシギシ言う以外はほとんど平気だ。
「ヘイキデス」
「お、お、お、では、こちらへ」



§§ 合法的晒し者 §§

 長老に連れられて今度はすごく立派なエレベーターのあるホールへ来た。
 こっちがエライ人用で、以前乗ったのはやはり業務用ってわけね。
 こんなに扱いが変わるなんて。

 院のある階は最初に来たところだ。
 先日檻に入れられたまま入った扉を、ブーツをガツガツ言わせながら歩いて通る。

 入った瞬間から全員の目が私に集中する。
 すごい恥ずかしさ。
 こんなみすぼらしい病室着で、みんなの前に立つなんて。
 さっさと挨拶を終わらせて、お父さんたちが来るまで、病室で毛布被をって寝ていよう。

 ガツンガツンと壇上に登ると、本当に晒し者にされる気分になってきた。
 おまん○この奥の筒がにゅるるるん!と蠢く。

「んあっ!」

 いやぁ! こんな時に!

 顔がほんのり上気しちゃったけど、まだまだ普通。
 しっかり挨拶しなきゃ。

 壇上の隅に、王が座るとおぼしき立派な椅子がある。
 その前に私を立たせ、先に長老が発言した。
「先日、コメドゥが皆に見せた姫様はご本人であった。共謀した女の話によると、異世界へ逃げ延びた王たちをコメドゥが付け狙い、ジュリア姫様を拉致し、姫様の持つ力を我が物にしようとしたそうじゃ。姫様は異世界へ行く時のショックで記憶を失われた。今少しずつ記憶が戻られているようだがまだ語彙が少ないのじゃ。では姫様、お言葉を。」
「コンニチハ。ワタシノコト、シンジテクダサッテアリガトウ」
 パチパチパチ
 皆の間から緩い拍手が起こる。

「姫様、その御召し物の下は、あの装具のままでいらっしゃるか?」
「ハア……」
「申し上げにくいのじゃが、あのお姿の方が皆が納得しやすいと思うのじゃが」
「エーッ! ムネガミエテシマイマス!」
「穴を穿たれ、あの宝具を下げられているようじゃが、それを見せれば、そのようなコメドゥの奸計にも屈しなかった王女ということで、皆が好意的に捉えるであろう」

 ―― ドクン ――

 ―― ドクン ――

 ―― ドクン ――

 ―― ドクン ――

 また私の暗い血脈の何かが発動している。
 みんなにおっぱい晒せと言われて興奮してる。
 膣の蠢きが止まんない……

 このまえ一回見られてるし。
 いいよね。

 はふっ。
 はふっ。
 すごい興奮。

 パンツのドロドロを見られるのが恥ずかしかったので、病室着の下をごそごそまさぐってデカパンツを先に脱ぎ、わからないように手早く股を拭った。
 そのパンツを握り締めて、病室着をハラリと脱ぐ。
 脱いだ病室着にパンツを押し包むように畳んで、椅子に置いた。

「この装束がわかるものがおるか? これは古より獣王女に着けさせた貞操帯と拘束具、そしてピアスじゃ。コメドゥは何も知らぬ王女を獣王女と同じに扱うことで支配しようとした。しかしジュリア姫は屈しなかったのじゃ!」

 ―― ゴーーーッ!! ――

 万雷の拍手とはまさにこのこと。
 全員が席を立ち、嬉しそうに笑って目茶苦茶に手を叩いている。
「アノ…… ドウモ……。 モウ、キテイイデスカ?」
「そのままがいいですっ! 姫ッ!」
「すでに先日見てますし!」
「ぜひ城下の国民にも見せたいです!」
「エエーッッ?!」

「姫様、ワシの記憶では、あと鎖が手足の装具についておったと思うが」
 こっ、このジジイは何を言い出すのか!
「ハァ……」
「何でもよい、鎖を持て」
 院お付きの侍従が扉の向こうに消えた。

「チョ、チョット! イ、イヤッ!」
「姫様は、国民が喜ぶことはお嫌かな?」
「ソ、ソンナコトハアリマセンケド……」
「ならば、少しの恥ずかしさなど耐えてこそ王女」
「ハァ……」
「お、鎖がきたのぉ」
「ナ、ナニヲ……?」
「お部屋に戻られましたら、ご不便でしょうからお外しください。ただバネで留めるだけの鎖ですゆえ」
 侍従に指示して、足枷同士、手枷同士を短い鎖で繋ぐ。
 鎖はバネ式の環金具でただパチンと留めるだけなので、外すのは自由だ。

 ―― ゴーーーーーーーーッ!!――

 また万雷の拍手。
「ああああああ、ずっとそのお姿でいてください!」
「姫様最高です!」
「アノ…… ワタシ、ドレイデハナイノデ、クサリハヤメテホシイ……」
「奴隷でいいじゃないですか! 王族なんて国民の奴隷で!」

 ―― ドクン! ――

 ひ!
 なんてこと言うのよぉ!
 そんな言い方されたら……
 ドクドク、ジクジク、おまん○こ感じちゃう……!
 『国民の奴隷』って言葉に反応しちゃったなんて、気づかれないようにしなきゃ。

「こらこら言い過ぎだ。でも皆が喜ぶのはいいことですぞ。ワシも一発で姫様のファンになり申した」

 こ、コイツら全員フェチ野郎かッ!
 しかもニルさんやユックさんやおじさまみたいに、ちょっとずつ口説いて人にヘンなカッコさせようとするし!


 あーーー! ついにわかっちゃった!
 国民全員ソッチ系の趣味が、多かれ少なかれ入っているんだ!

 なんてトコなのよ、ここはぁ!

 ひー!
 早く元の生活に戻りたーーい!!

「デハ、マモナクチチがモドリマスノデ、ヨロシクオネガイシマス」

 ―― ゴーーーーーーーーッ!!――

「おまかせくださーい!」
「姫様の言うことなんでもききまーす!」
「ナラ、クサリハズサセテ」
「それはだめ」
 もう、あきれて反論する気にもならない。

「モウイイデショ」
「ああもうこの爺も今すぐ死んでも悔いはござらん」
「ハイハイ」
 冷ややかに言って、繋がったままの手を振り、院をあとにした。
 あーっ!
 病室着とパンツ、置いてきちゃった。

 まさか、みんなで私のパンツ見たりしてないでしょうね!

 急いで戻る。

「あーー! またお見えになったぁ!」
「かわいー!」

 終始真っ赤。

 足の鎖をチャリンチャリン言わせながら、壇上に置きっ放しの病室着とパンツを回収して、足早に去った。



§§ フェチ国民 §§

 ガツガツ、チャリンチャリンと派手に音を立てながら廊下をエレベーターに向かって歩いていると、後ろからもガッチャガッチャとすごい音がする。
 振り向くと、軽装の甲冑を着けた若い騎士が駆け寄って来た。
「姫様! 姫様ァ! ご案内いたします!」
「ア、ドウモ」
「姫様は4歳くらいまでのことは覚えてらっしゃるのですか? どこに行きたいですか?」
「4サイマデ、ココニイタハズナノデスガ、アマリオモイダセナイ」
「そうですか。ではどこも初めてですね?! いろいろ見ているうちに思い出すかもしれませんね!」
「ハァ」
 何を勝手に連れ出そうとしてんのよ。
 私は病室にもどってウダウダ寝て過ごすつもりなんだけど。

 エレベーターが来たら、その騎士が先に乗り込んで操作した。
「アノ…… ビョウシツ……」
「最近お気に入りのうまい店があるんですよ。そうそう、長老から姫様のおこづかい、こんなに預かってきました」
 病室って言ってるのにィ。
 でも、うまい店ときいて、ちょっと興味が出た。
 なにしろ、ほとんどマトモな食事をしていなかったから。

 エレベーターが開くと、城の1階ホールだった。
 みんなが一斉に私のことを見る。

 遠巻きにしてヒソヒソいろいろ言っている。
「おーい、トラン! そのイカれた彼女は誰だい?」
「バカッ! ジュリア王女様だぞ!」
「エーーッ! マジかよ。なんでまた?」
「正式発表前のお忍びだ」
「オシノビデ、クサリジャラジャラ、イヤダナァ」
「そんなことないです! 最高です! 俺も一緒に行っていいか? トラン」
「俺が許可できる立場にないの分かってるだろ? でもついて来るのは止められないよな」

 そんなこんなで人数が膨れて、城門を出るころには20人くらいが金魚のフンみたいにゾロゾロ。

 この格好のまま城下まで歩くのかと思うと気を失いそう。
 ヤダヤダって言うたびに、全員が口々におだてるの。
 コイツらぁああ!!

 結局、奴隷みたいな格好のまま城下の町並みへ。
 お堀を越えて城門前広場から少し行ったところが市場の入り口だ。
 くだものがいっぱい!
 金魚のフンが口々に町の人に何が起きたのか説明してくれるもんだから、握手攻めのうえにタダでくれ放題。
 ブドウそっくりの果物が砂糖のように甘くておいしかった。
 甘味に飢えてたんだぁ!

 市場のゴタゴタを抜けたところに、新しいカフェのような店があり、そこが目的地だったらしい。
 席の大半が露天席で、ついてきた金魚のフンもみんな着席した。
 中にはどういう趣味なのか、小学生くらいの男の子もいた。
「オイデ」
 私の席に招くと、皆が羨望の眼差しで見る。
「オカネ、アル?」
 プルプルと頭を横に振る。
「ショウガナイナァ。トランサン、オカネ、タリル?」
「あと100人来たって平気です」
「ヒャクニンナンテヤダヨ。 キミ、オカネアルミタイダカラ、スキナモノタベナヨ」
「ありがとう! おねえちゃん!」
 元は税金だと思うと勝手に無駄遣いはできないけど、まあいっか。

「トランサン、ナニガオイシイ?」
「自分は先日麺を食ってうまかったです」
「ジャ、アタシモ」
 メニューを捲ると、手描きの絵で、中華の削ぎ落とし麺のようなを使った洋風のパスタにそっくりなものがあったので、それと紅茶のようなものを注文した。

 あーっ!
 あっちの一団はお酒飲み始めた!
 もう知らなーい。

 出てきたパスタは魚介風味で、思ったよりスープに近いものだったが、魚のうま味たっぷりで、ものすごくおいしかった。
 手が繋がってて食べにくかったので、手枷の鎖だけ勝手に外した。

「アッチノヒトタチハ、ジブンデハラッテモラオウヨ」
 会計をするトランさんに言った。
「自分もそう思います」
 結局金魚のフンは5人ほどで落ち着き、そのまま近場の公園へ行った。

 公園にある遊具が変った形をしていたので、シーソーのようなものに思わず乗ったら、足の鎖がひっかかり、ガタンと揺れて乳首のピアスがズンと引っ張られた。

「アアア〜〜ン」

 まったく抑制不可能なタイミングで、あられもない声が出た。
 真っ赤になって石のように硬直する私。
 周囲から『ゴクッ』って生々しい音がたくさん響く。

 やっちゃった。
 みんな蔑んだ目で見てるはず。
 膣の中のモノもにゅるんて動くから、ほとんどスイッチ入りそう。

「ゴ、ゴメンナサイ。モウカエリマス」
 消え入って死んでしまいたいほど恥ずかしい。

「姫様はなぁ! 悪いヤツにからだの中にいろいろ装置を入れられちゃったんだよ! 御苦労なさってるんだよ!」
 あ、バカ! トランてば!
 今そんなこと言ったら……!!

「ゴクッ!」
「ゴクッ!」
「ゴクッ!」

「ゴクッ!」

 ひー!
 生々しすぎ!
 皆に火がつきそうだよ。

 そういえばお尻のディルドーもそのまんまだ。

 遊具から立ち上がり、やたら湿っぽい行列がゾロゾロとお城へ戻る。
 途中、町から参加した人は城門までで帰り、場内からの3人でお城へ入った。

 病室まで案内してもらい、手枷足枷の鎖は自分で外した。

 なんか凄く疲れた。

 病室付きの侍従にトイレの場所を聞き、カギでお尻のディルドーを外して大っきい方も済ませた。
 ディルドー抜きっぱなしにしておきたかったけど、しまう場所に困り、結局お尻に戻した。

 寝るには早かったけど、毛布被ってウダウダしているうちに寝入ってしまった。


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