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  檻の生活  







§§ 檻の生活 §§

 ―― ピンポーン ――

「わぁっ!!」
「大変!」
 慌てて絽以がズボンを穿く。
 私は絽以にベッドから床へ下ろしてもらった。
 し、しっぽどうしよう!

「入りますよー! ってもう入ってますけどー? アハハ」
 いきなりユックさんが入って来た。
「キャッ!」
「お邪魔しまーすッ! うーん、ラブラブ? いいなぁ〜 でも姫様、もう戻るお時間ですよー!」
「ちょっと待てよ!」
「アハハ、大丈夫ですよーロイさん! ちゃああぁぁんとまた姫様と繋がるチャンスありますからぁ!」
「えっ?」
「ロイさん、自分だけ気持ち良く出しちゃって、姫様パンクしそうなのわかりません?」
「そ、それはわかるけど、どうすればいいんだよ!」
「姫様をしばらく別の所で冷やさせてあげてくださーい。クールダウンしたらまたどうぞー!? ちゃぁぁああんとお連れしますから」
「そ、そうなの?」
「はーい。では一度失礼しますーっ!」
「えと、あの、ほんとにまた絽以に会えますか?」
「姫様もうオカシクなりそうでしょ? ちゃんと会えますから、冷やしに行きましょー!」
「あうあう、はい〜」

 ユックさんは側に落ちていた尻尾ディルドーを拾い上げ、
「このまま戻したらバイキン入っちゃいますから、またあとでー」
 と言って、私のリードを拾い、引っ張った。
 引かれるままにガスガスと肘と膝で四つん這いのまま歩く。

「珠里!」
「あ、あとでまたね、絽以」
 揺れるピアスにまた頭がおかしくなりそうだったけど、無理に明るく言って部屋を出た。

 廊下をずっと這って行って、暗い調教部屋に戻ると、金の檻の前に連れて来られた。
 ―― ギョッ! ――
 檻の中に床板が張られ、椅子が置いてある。
 『一度冷ます』の内容について、イヤーな予感が頭を支配する。

「ウフフッ! 姫様、ここでしばらく落ち着きを取り戻してくださいねっ?」
「お、檻の中でですか?」
「そうでーす! この中でしばらくボーッとしてると、悶々とした気持ちも落ち着いて来ますよ?!」
「はぁ……」
 やっぱり。

「長いこと犬の格好御苦労様でしたぁ! 今外しますね?」
 ユックさん一人で私の腕を折り曲げている拘束を外してくれた。
 手が自由になったので、自分でも痺れて動きにくい指で、足の拘束を外すのを手伝った。

「ハァ〜〜」
 私は気が緩んでその場に倒れた。
 ユックさんが私の頭から犬耳のカチューシャを外し、私の手を後ろへ回して手枷同士を後ろ手で繋いだ。
 そしてピアスに気をつけながら上半身を起こすと、足枷同士も30cmほどの鎖で繋いだ。
「少し気分が紛れましたかぁぁ?」
「はぁ、少し……」

「はい、あーんしてください!」
「なにっ?!」
「口を楽に開いたままにさせるための、ゴムのブロックを噛んでもらいまーす!」
 それはまるでボクサーのマウスピースのような大きなU字型の透明なゴムの塊だった。
 ボクサーのそれと大きく違うのは、口を開いた状態で作られていて、しかも正面におちんちんが楽勝で通りそうな、大きな丸い穴が明いていることだった。
「こんなの入りません!」
「ちゃああぁんと姫様のサイズで作ってありますから、ピッタリのはずですよー?」
 手足を拘束されて床に座らされているので、抗うわけにもいかず、おずおずと口を開いた。
「もっと、あーん!」
「あーー!!  ……おゴッ!!」
 その塊を無理矢理ねじ込まれた。
 すると不思議なことに、上下の溝にぴったり歯が収まり、少し噛み込むと楽に口を開いた位置でピッタリ安定した。
「オフッ! オホッ!」
 真ん中にぽっかり明いた穴から、間抜けな声が漏れる。

「大丈夫ですかー?」
 コクコクと頷く。
「そしたら、鳥籠着けちゃいましょうねー? リラックスできるそうですよー?」
 ひいっ!
 あの顔を固定する金具を着けられちゃう!
 いやぁああ!!

「まずはこの部品でーす!」
 筒状の部品から金属の大きな輪が出ているものを持って来た。
「オヤッ! オヤッ!」
 嫌って言ってるのにぃ!
 ゴムのブロックを噛まされているせいで、何の抵抗も無く太い筒を押し込まれた。
 両側から出ている金属の輪をうなじで合わされ、カチリと留められた。
 どういう構造で留められたかは確認できない。
「オホッ……!」
「このままだとお口が渇いちゃいますので、栓をしますねー!」
 大きな平たいコルク栓をポコンと嵌められた。
「ン……!」

 ひいっ!
 完全にモノ扱い!
 『姫様、姫様』って言葉では持ち上げながら、自分たちの目的を達するための道具にしか見ていない気がするぅ!

「次はこれでーす!」
 鳥籠本体を頭から被せられる。
 ちゃんと全体に空間が取ってあって、髪をアップにしたままでも入る。
 もっともその余裕の空間が、この拘束具を鳥籠そっくりに見せているのだけれど。
 キュッキュッとネジの回る音がして、左右のこめかみに冷たい金属が触れる。
 またキュッキュッと音がして、おでこと後頭部、後頭部は髪を突き通して金属の先端が触れた。
 さらにキュッキュッと音がして、耳にゾグゾグと冷たい金属の棒が入って来た。
「ホヤアアアア!!」
 あまりの気色悪さに悲鳴を上げたけど、それは気色悪いというよりは、耳の穴をいじられてやたらこそばゆいという感じだった。

 ユックさんは黙々と籠を微調整している。
 耳にしっかり棒が入ったら、こんどはおでこやこめかみが緩くなったので、そこを締め直す。
 ―― ギュギュギュギュ! ――
 ―― ギギギギギギギ!! ――
 ―― キッ!キッ!キッ!キッ! ――
 耳に差し込まれた金属棒を伝わって、ネジを締める音がものすごく響く。
 理科室でガイコツの模型などを見ると、耳の穴は頭蓋骨に直接明いた穴だということがわかる。
 ここを固定されてしまうと頭蓋骨そのものを固定されることになり、逃げる術がない。
 そしてさらに頭の外周を固定することによって、頭全体を鳥籠と一体化してしまう構造だ。

 ―― キッ!キッ!キッ!キッ! ――
 さらにネジが追加され、口枷も鳥籠に固定された。

 ユックさんが正面に来た。
 手に真っ黒い円盤型のスポンジが2つついたメガネのような鉄のパーツを持っている。
 パーツの材質から、この鳥籠の部品だとすぐにわかる。
 そしてその黒いスポンジを見て私は即座に目的を察し、重い頭を鳥籠ごと力無く左右に振った。
 ユックさんはニコニコ笑ってる。
 私はハラハラと涙を流しながら、頭を後ろへ逃がそうとしたけど、ひっくり返りそうになって逃げ場を失った。

 目の真正面に、メガネの様にカチリとはめ込まれ、左右をネジで留められた。
 ―― キッ!キッ!キッ!キッ! ――
 側面のネジがさらに締め込まれ、目の前で黒い円盤がカタカタ揺れている。

 こんどは円盤のネジだ。
 右目。
 ―― キッ!キッ!キッ!キッ! ――
 ―― キッ!キッ!キッ!キッ! ――
 あああああああああ
 目にスポンジが当たる。
 まつげに触れた所で目を閉じると、その上からやんわりしっかり圧迫され、目を開けることもできなくなった。

 左目。
 ―― キッ!キッ!キッ!キッ! ――
 ―― キッ!キッ!キッ!キッ! ――
 おなじだ。
 とうとう暗闇に閉じ込められた。

 そのまま肩を抱かれ、たぶん、檻の中の椅子に座らされた。
 檻の天井にぶつからないようにか、ユックさんが鳥籠を支えてくれていたので入るのは楽だった。

 椅子は革張りかビニール張りの感触だったが、さっきチラッと見たときはほとんど木が剥き出しに見えたので、要所にしかクッションは無いのだろう。
 座ると冷たく、すこしリクライニングしてて、足は左右別々に足置きに載るようになっていた。
 お尻がスースーするので、お尻の下は空いているのだろう。
 ……きっと排泄のためだ……

 後ろ手が邪魔でちゃんと座れない。
 一度手枷の接続が外され、背もたれを後ろで抱くようにまた繋がれた。

 ガンガンと上からすごい音がする。
 そのうちガキーンと耳に響いて、頭が全く動かせなくなった。
 きっと檻と鳥籠を棒のようなもので繋いだんだ。

 ガチャーンと檻が閉まる音が響く。

 しばらくしてシーーンとなった。



§§ クールダウン §§

 椅子が体温で暖まってくると、そんなに不快な姿勢ではなかった。
 むしろ、本当に身を任せても大丈夫そうな堅牢さが心地よかった。
 頭も恐ろしい拘束具で固定されてはいるものの、そのまま眠り込みそうだった。

 背中に椅子の冷たさを感じないほど体が暖まったら、すぐにガクッと眠ってしまった。

 しばらくして筋肉の疲労だけが回復したころ、目が覚めた。

「? ――――――――ッ!!?」

 状況をすっかり忘れていて、心底慌てた。
 起きた時、目が開かないってものすごい恐怖。

 やっと状況を思い出して少し落ち着いたけど、身じろぎもできないほど顔ごと拘束されているのを思い出して、どんどん濡れ出した。

 アソコが恋しい。
 お尻がスースーするのが寂しい。
 絽以のおちんちんの味を思い出す。
 あの肉の棒をお尻で咥えたいよォ!

 ダメだダメだ、こんなことじゃ本当に奴隷になっちゃう。

 そうだ。
 また少し力の練習をしよう。
 ……た、大変だ!
 視覚を奪われているので、何もできないよ!

 ダラダラと冷や汗が垂れる。
 まさか、私の力の練習を封じるためにこのアイパッドを着けたの?

 ずっと余裕をかましていた私が、初めて焦りを覚えた。

 いや、でもまだチャンスはあるはず。
 絽以と一緒のときにでもまた練習すればいい。

 今は…… きもちいいことだけ考えたい!

 ああん……
 お尻もおま○こも寂しいよぅ……

 頭を完全に固定されたまま、体をモゾモゾ動かして、なんとか刺激に繋がらないかともがく。

 チャリッ。
 胸のピアスが踊った。
 はう! ちょっとだけきもちいい!

 腰をカクカク動かすと、どこか奥ゥの方でクリトリスがクン!って引っ張られた。
 はう! これもイイ!!

 もぞもぞカクカク、もぞもぞカクカク、出口の見えない迷路をさ迷うように、イケるあてもなく微妙な刺激を求めて体を揺すり続けた。


 突然、口の栓が抜かれた。
 何かが流し込まれた。

 甘い……
 なんかおいしい。
 ゴクゴク飲む。
 ちょっと満たされた。

 水が流し込まれ、それも飲んだ。

 また放置。

 あいかわらず動ける範囲でカクカクやっている。

 頭がボーッとする。

 難しいことはもうどうでもいいって感じ。

 疲れが出て、また眠り込んだ。

 今度は目が覚めてもあまり驚かなかった。

 相変わらずカクカク。

 胸のピアスが左右に別れて垂れているのがなんかすごくイイ……!

 この重みがたまんない!

 はふっ……!

 はふっ……!

 はふっ……!

 はふっ……!

 あーもう最高!

 ずーーっとこの甘い空間でカクカクしていたい。

 あーでもイキたいなぁ……



§§ 再び絽以と §§

 突然ガキーーンとすごい音が響いて、頭がグラグラした。
 目の締め付けが緩み、アイパッドがゆっくりと前へ浮いた。
 頭の締め付けも全部緩み、鳥籠が外された。
 しかし口の筒はそのままだった。

 手足の固定が外され、口枷を着けたまま檻の外へ出された。
「姫様、ごきげんいかがですか? 随分揺すってらっしゃいましたね」
 私はカーーッと真っ赤になった。
「おまちかね、ロイ様の所へ行きますよ。もう犬の真似は結構ですから、そのままお歩き下さい」
 ただでさえヒールの高いブーツでふらふらするのに、檻に長時間閉じ込められていて余計ふらふらだ。
 すかさずお浣腸をされ、例の石油缶に排泄し、おしりだけ洗われた。

 首にリードを付けられ、絽以の部屋までガツガツと普通に歩いて行く。
 手も自由。

 ―― ピンポーン ――

「ロイ様、姫様をお連れしました」
 ガチャッと戸が開く。
「あー! よかった、もう来ないかと思ったよ。あれ? 犬は?」
「オオイインアッエ」
「『もういいんだって』とおっしゃってるようです。クスッ」
 コクコクと頷く。
「そうか、入りなよ」
「では、私はこれで」
 リードを外し、私を置いて、ニルさんが戻って行った。

 手も足も自由で、お尻にも何も入っていない。
 しかしアソコには触れられず、喋ることもできない。

「オヤマイマーウ」
「喋んなくていいよ」
「ウン」
「あの…… その…… 早速しよっか?」
 私は真っ赤になって絽以を睨む。
 デリカシーってもんが無いのかぁ!
 でもすぐに睨むのをやめ、両手を広げて絽以に抱きつく。
「わっ!」
 絽以もすぐ察してくれ、ぎゅっと抱いてくれた。
 剥き出しの乳首の先が絽以の服で擦れてどんどん感じてしまう。
 ピアスの重みも最高にきもちいい。

「これ、キスってできるの?」
 右手でポンと栓を抜く。
「ホア…… レ?」
 筒の中からべろーんと舌を突き出す。
「へんなの」
 絽以も状況に動じないヤツだなぁ、ツッコミどころはソコじゃないだろうって思いながら、舌の先を絽以の口元に近づける。
 絽以は笑って舌を出し、私の舌に絡めた。
「ホムッ…… ホン…… オン…… ンンッ……」
 唇の柔らかさは味わえないけど、舌の熱さでお互いに興奮してくる。

 あまり時間も無いような気がして、唾液の糸引く舌を離して、私はその場に四つん這いになった。
 あー、手をつく四つん這いは楽だ〜
 でもピアスが引っ張られてどんどんエッチな気持ちがすすむ。

 絽以が手にローションのボトルを持って、下半身裸で私の前へ来た。
 絽以のモノ…… スゴイ……

 絽以が四つん這いの私を優しく抱き起こす。
 膝立ちになる私。
 絽以の優しい仕草にうっとりと甘い気持ちになる。

 目の前に、絽以の……
 ……って、ソレが目的かー!

 私の口の筒に絽以がおちんちんを差し込む。
「オアッ!!」
 突然の凌辱に悲鳴を上げたが、熱い肉棒がすぐに喉を塞いでしまった。
「オエーーッ!!」
「うわ! ごめん!」
 私の叫びに絽以が腰を引く。
 謝るならやるなーーッ!! もうっ!

 今度は、恐る恐るぐちゅーっと侵入してくる。
 口の中の筒の口付近で舌を膨らませて待ち構える。
 突っ込まれる棒の下面を舌のザラザラでしこたま刺激してやった。

 ―― ボビュ! ――

 一瞬、何が起きたのかわからなかった。
 口の中がドンと破裂したように感じた次の瞬間、喉の奥が熱くなった。
 ドロドロが後ろから前に溢れて来て、舌に広がると激しく苦しょっぱかった。
「ンゴクッ! オグゴグッ!!」
 溢れそうだったので、目を白黒させながら飲んだ。
「う……!」
 絽以の気持ち良さそうな呻き声。
 やっと絽以が射精したのだとわかった。

 絽以が抜き取った。
 口中が、しょっぱマズいよ〜〜!!
「ごめん珠里…… 俺、その……」
「ウーーーーーー!!!」
 思いきり見上げて睨んだ。

 続けて四つん這いに戻そうとする。
 あーもう勝手にしてよ!
 口から精液や唾液がダラダラに出そうだったので、自分で口に栓を戻し、生臭くてまずい味に顔をしかめながら口中の精液を舐め取った。

 今日はベッドじゃなく、部屋の絨毯の上でヤるのかぁ。
 お尻の穴、ほぐされてもいないのに、挿入が待ち遠しくてヒクついちゃってる!

 ヒャッ!冷たい!
 お尻の穴にローションが塗られた。
 今度は熱い!
 絽以のおちんちんの先が当たってる!
 えーと、えーと、いきむ!
 んーーーーっ!

 ズッ!と先端が入って来た。
「オホッ!」
 顔は目一杯切ない表情をして、不自由な口で栓に籠もった喘ぎの吐息を吐く。

 少しためらった後、ズドーンと全部入れられた。
「ウーーッ!」
 栓で遮られた野獣の咆哮。

 くあっ!
 欲しかった大好きなお菓子を口一杯頬張る気分!

 もう節操なんかどっかにフッ飛んで、ただただお尻の穴で絽以の熱い肉棒を貪る。

 絽以も一度お口で出しているので、ガッついた焦りも無く、一定の速度で抜き差ししてくれている。
 今の私には、この等速が一番嬉しい。
 一突きごとに締めたり、緩めたり、快感のピークを自分で調整できるから。

「ホアッ! ホアッ! ホアッ! ホアッ!」

 だんだんノッてきた。

 きもちいいよぅ!

 結局最後はイケないとわかっていても、この快感を限界まで楽しもうと思う。

「ンオッ! ンオッ! ンオッ! ンオッ! ンオッ!」

 ブルブルと震えがきて、本当にお尻だけでイキそうになった。

「ンオッ! ンオッ! ンオッ! ンオッ! ンオッ!」

 もう少し!

「ンオッ! ンオッ! ンオッ! ンオッ! ンオッ!」

 もう少し!

「ンオ! ンオ! ンオ!ンオ!ンオッッ!」

 あーーーーくるっ!

 ところが、嬉しくって思いきり締めたら絽以がブビュッと出しちゃった。

 ああーーーん!

 イケそうでイケないのが恨めしい。
 悔しくて涙が出た。

 でもやっぱり絽以のせいじゃない。
 貞操帯してるとお尻だけじゃイケないんだ。
 かなり近い感じはするのに、心底満足することは無い。

 お尻の穴の中心で、絽以のモノがしぼんでゆくのがわかる。
 名残惜しくて泣き叫びたいけど、絽以に悪いので、ぐっとこらえて我慢した。





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