|   |  目次  |  小説目次

  処女ディルドー  







§§ 処女ディルドー §§

 ―― ピンポーン ――

 どこかで私達の行為を監視しているのではないかと思うぐらい、タイミング良くお迎えが来た。

 結局、今日もまた満たされぬ快感の火照りを残したまま連れ出され、また檻の中に固定されて、視覚も奪われて洗脳なんだろうなぁ……

「お済みですか」
 附室の戸の向こうから、ニルさんの声がする。
「はい」
 絽以が返事をすると、扉を開けてニルさんが入って来た。
 私が立ち上がると、首輪にリードが付けられた。

「あっちで何されてるか知らないけど、がんばれよ、珠里」
 コクンと頷いて、部屋を出た。
 結局、力の練習なんてできなかったなぁ〜

 調教部屋に戻ると、案の定昨日と同じ鳥籠が取り付けられ、檻の中へ固定された。

 ―― キッ!キッ!キッ!キッ! ――

 ネジを回す音が耳に響く。
 一旦目を塞いだアイパッドが、再び緩められた。
 左右の目玉の正面はアイパッドが邪魔してるけど、隙間から斜めに見ればニルさんの顔が見える。

「御苦労様でした、姫様。すっごいイジワルな質問ですが…… イキたいですか?」
「ウーー!!」
 頷けない!
 頭が動かせないよォ!
 ひどいよ、ニルさああぁん!!
「『ウー』は肯定と取って宜しいですね?」
「ウーー!」
「イキたいんですよね? それなら、いよいよ最後の装置を入れさせていただきます。貞操帯、前だけ外しますよ」
「オウッ……」
 大きく開いて筒を突っ込まれたままの口は、拒否する言葉さえ奪われている。
 金属の鳥籠に固定された頭では、首を振って拒否の意志を示すことすらできない。
 ただ開いた口のまま発音できる音を、意味も無く発するだけだ。

 最後の装置って!?
 やっぱり…… 罠だったんだ……

 そうとわかった今でも、イカせてもらうことを拒否できない自分が情けない……

 アイパッドの離れている両目からはハラハラと後悔の涙がこぼれ落ちる。

 結局、なしくずしに調教を完成させられてしまった。

 心までは堕ちてないはずなのに…… なぜこんなことになったんだろう。

 ニルさんが金色に輝くディルドーを操作しているのが、隙間から見える。
 それはお尻に突っ込まれるような単純な棒とは違い、ニルさんが付け根から輪を外すと、まるで樽のようにバラバラの細長い板に分かれた。
 一枚一枚の板は樽のような単純な形ではなく、処女膜の位置を避けた、ディルドーの外枠といった複雑な形だ。

 パーツの1つをつまみ、ニルさんの指が視界から消える。
 すると、まだ一度もモノの挿入を許したことの無い私の処女穴に、冷たくて細いものがヌヌヌッと入ってくる。
「ウ……」
 角がチクッとするような感じに、眉をしかめた。

 ニルさんが非常に慎重に作業しているのが判る。
 指が小刻みに震えている。

 ……また一本……

 ……また一本……

 全部で8本くらい入れられただろうか、アソコの奥がゴツゴツして苦しい。
 ニルさんが、指の半分位の太さの細いゴムのような棒を差し込もうとする。
 そこからはチューブが伸びていて、その先にはお尻を拡張する時に使われたような黒いポンプが付いていた。
 一瞬ギョッとしたが、これだけ細ければ別に何の問題も無いように思えた。
 ニルさんが少し苦労しながら細い棒を入れてくる。
 少し入れてはパーツを整理し、また入れては整理する。
 だんだん身体の奥のゴツゴツ感が減ってきた。

 ―― シュッ ――

「ハウ!」
 ポンプの音に驚いて声を上げたが、別に何も起こらなかった。

 ―― シュッ ――
 ―― シュッ ――
 ―― シュッ ――

「ウ……」
 パーツの位置がどんどん変わる。
 なんだか地下鉄の工事のように、膣トンネルの内面に、パーツに分かれた板を並べて行くかんじ。

 ニルさんがパーツの根元をまとめて手で押さえながら、さらに2回ほど中の黒い棒をゆっくりと膨らませたら、お腹の奥でパカッ!っと鈍い音がして、突然気持ち良くなってきた。

「姫様わかります? 樽を分解して、内部でまた組み立てるようなものです。樽が、扇形をした羽目板の僅かな角度でちゃんと形を保つように、このディルドーも組み上がると中空の筒の形を保つのです」

 ニルさんがさっき外した輪の金具を付け根に取り付け、きっちりねじ込むと、最後の一締めで体内のパーツがグルリと回転した。
「ホアアアン!!」
 目をカッと見開き、口の中にはツバが溢れる。

 今一番渇望している刺激を一部もらった気分。
 イクために欲しくてたまらない、おま○この刺激。
 本当は筒を前後に抜き差ししてもらうと一番嬉しいんだけど、体内でこんな太ッとい棒を握り締める嬉しさでも充分な満足感がある。

 ニルさんがバルブを操作し、空気の抜ける音がする。
 細く戻った黒い棒を私の中から抜き取り、筒の安定を確かめるように軽く揺すった。

「アアン!」

 き…… きもちいい!!
 本当にセックスすると、こんなすごい充足感が出たり入ったりするんだ!

「姫様、どこか挟まって痛いところはありませんか? 揺すった限りでは完全に組み立てられたようですが」
「ウーー!」
「ウフフ、もうここから先はどうでもよいことですね。貞操帯、戻します」
 特に押し込まれた筒を固定するでもなく貞操帯が閉じられた。
 しかし、その後で貞操帯のスリットを覆っていた金具を外し、外から何かを突き通している。
「一応ご説明しますね。姫様の膣内の筒は、処女膜前後にかなりの遊びがありますから、決して膜を傷つけることはありません。その筒を貞操帯の外側から棒で固定しますと、筒は内部をこの棒で貫かれはしますが、固定されません。つまりある範囲で膣内を自由に動けるのです。それがどう働くかは、説明しなくてもすぐわかりますよ」

 外からの棒が貞操帯に固定されると、お尻にディルドーが入れられた。
 そんなに太くない。
「これ、楽でしょ? 調教でない場合はこんなもので充分です。お尻が寂しくない程度で。アハッ?」
「ウ……」

「ふーーー…… いやぁ、緊張しました! でもお役に立てて良かったです! 全部装着するのも、ギリギリお誕生日に間に合いましたしね? お誕生日、おめでとうございます」

 ―― 誕! 生! 日!? ――

 なんですって!!?
 すっかり忘れてた!!

 ものすごくイヤな汗がダラダラと垂れる。

 電車で居眠りし過ぎて寝過ごしたような、試験範囲を間違えて勉強したのが当日判ったような、丸木橋をふざけて渡って川に落ちたような、強烈な慚愧の念が、発狂しそうな脳に一気に押し寄せる。

 まんまと罠に落ちた私。
 私なんかが考えるより、数十倍狡猾な罠。
 乗せられるフリをして逆に利用しようなんて、考えが甘すぎた。

「えーと、姫様、ひょっとして忘れてらっしゃいました? そんなことないですよね? 姫様だって、気持ちいいのがイイからあたしたちにのことを受け入れて、コメドゥ様の仰せの通りにこの調教におつきあい下さったんですものね」

「オフッ……! オフッ……! オオオオオン……! オオオオオン……!」

 お父さんになんて言い訳したらいいんだろう。
 絽以や、お母さんにも。

 自分の不甲斐なさが悔しくて、ただ正面を見据えて、大きく開かれて筒を突っ込まれたままの口の奥から絶望の嗚咽を漏らしながら泣き続けた。

 ―― キッ!キッ!キッ!キッ! ――

 ニルさんはそんな私の気持ちをわかっててわざと無視しているのか、それともそういうおじさまの命令なのか、事務的にネジを回し私の視界を奪うと、ガチャンという扉の音を残して出て行った。

 絶対ならないぞ、と思っていた姿。

 絶対ならないぞ、と思っていた状況。

 今、まさにその中に私は居る。

 おま○んこに突っ込まれた組立式の筒は、膣の蠕動に合わせて内壁を甘く擦りながらヌヌヌと移動する。

「オアアアン……」

 平常な思考は1分と持たず、すぐにその甘い快感にかき消された。

 大人のおもちゃのような振動する仕掛けもなしに、昔の人はどうやって狂った王女を快感漬けにしたのか疑問だったけど、身をもって理解した。

 狂おしい生殺し装置。
 疼きを与えるだけで、決して満足させない装置。
 2日間、絽以とお尻でやっただけで放置されてる私は、もうたった今の段階で何でも言うこと聞きそうな気分になっている。

 イカせてくれるなんてウソばっかり!

 イク直前のままの生殺しを100倍に煽っただけ!

 ちょっと落ち着いたら力のことに気持ちを集中して、なんとか危機を脱しようなんて考えが超甘いことを思い知らされた。
 とてもそんな気分になんない。
 まじめなこと考えて頭を冷やそうとはするけど、おまん○こで蠢く筒と、おしりのユル甘いディルドー、そして3つの敏感な突起に穿たれたピアス、そして身じろぎもできない檻拘束などの何重にも畳み掛けるエッチな刺激に邪魔されて、ほんのわずかも集中できない。

 私はただ檻に繋がれているだけではなく、コトコト煮込まれる野菜のように、快感のエキスを染み込まされ、エロエロにほぐされてゆく。

 見た目はただ固定されているだけでも、脳は時間単位で調教の結果を刷り込まれ、まじめで正気な部分が壊されてゆく。

 もう、戻れないと自覚し、打ちのめされることすら快感に転化してしまうほどに……

 ブッ壊されてゆく私、キモチイイ……





小説目次  |  目次  |   | 
 

powered by HTML DWARF