姫
お披露目
§§ お披露目 §§
しばらく眠っていた。
私は変わった。
快感奴隷人形でいいって、本当にわかった。
それがおじさま経由ででも国民の役に立つんなら。
お父さんもお母さんも絽以も、私がちゃんと役に立ってるという結果を見てくれれば、納得してくれるだろう。
口先ばっかりのダメな娘だとは思われちゃうだろうけど。アハハ。
―― キッ!キッ!キッ!キッ! ――
アイパッドが外された。
頭を固定している鳥籠も外され、檻から出された。
口の筒も抜かれ、ゴムの歯型も外された。
「うぷあー〜」
「だいじょーぶですかぁあ?」
体が火照って、頭が熱い。
全身エッチな気分が収まらない。
「うっ!」
アレが中で移動したぁ!
なんてきもちいいのぉ?
永遠に注射され続ける媚薬のよう。
拘束されてなくても私はもうメロメロで、酔っ払うってこんなカンジ?
おしりもちょっと締めると、ディルドー突っ込まれたままだってわかる。
普通に歩くだけで乳首のピアスが揺れて……
ほんとにオカシクなりそう。
「すごいですよー! 今日は姫様のお誕生会でーす! 皆様待ってますから行きましょうよー!」
「はい……」
朦朧としながら答えた。
「これ着てくださーい!」
いつものワンピース。
ところが着るとピアスで突起したままになってる乳首が擦れて、一歩あるくだけで大変だ。
「はふっ…… はふっ…… ああん、もっとゆっくりお願いします〜」
リードを引かれて廊下を歩くのもつらい。
なんとか一番奥の応接間についた。
ユックさんがドアを開けてくれる。
中に入ると、正面におじさま、向かって右に絽以、円卓の左右にユックさんとニルさんが座った。
「おじさま!」
「まずは、おめでとう。こううまく行くとも思わなかったけれどね」
「う…… おじさまひどい」
「何を言っているんだね。目的は最初からわかっていたろう? ちゃんと説明したはずだよ」
「珠里! まさか…… もう……?」
「ご、ごめん……絽以……」
「そんな! あの時平気だって言ってたろ?」
「はうっ…… ンン…… ごめん…… だめだった……」
「ロイ君もまだしばらく泊まっていきなさい。そしてジュリアのお尻を慰めておくれ」
「……」
絽以は何も答えず、苦虫をかみつぶした顔をした。
「では、力のお披露目だ。ニル、ケーキを」
「はい」
「ジュリア、こっちへおいで」
素直におじさまのそばへ行く。
「膝にお乗り」
「ええーーっ? あの…… その…… 汚してしまいます……」
「ならタオルを持ってこさせよう」
すぐにユックさんがタオルを持って来た。
言われるままにおじさまの膝に座ると、おじさまはワンピースを捲った。
「キャッ!」
そのままおじさまの体を背もたれにするように、おじさまに重なって座らされ、股を開かされた。
私の目に映るのは自分の貞操帯、そしてブーツを履かされっぱなしの足、足首に光る黄金の枷、そして円卓、その向こうにニルさんが運んで来たケーキ。
おじさまは直径1cm、長さ5cmほどの金属の棒を取り出した。
ちょうど自転車などの盗難防止に使うチェーンロックのカギの部分だけのような物だ。
その外側にあるダイアル4つをそれぞれ回しして数字を合わせると、ボールペンをノックするように、棒の端を中に押し込んだ。
すると中から鍵が押し出されて来た。
おじさまはその鍵を私の貞操帯の股間にある、膣の筒を貫く棒の鍵穴に差し込んだ。
「これをね、回すと、ほら、中の筒が固定されたでしょ?」
あ! ヌヌヌと蠢く感じがなくなった。
「私がね、手を離すと、鍵が反転してから抜けて、またダイアルを合わせないと出てこないようになるんだよ」
おじさまが手を離すと、カシャンと小さな音がしてから棒が股間から外れた。
「ほら」
鍵は棒の中に引き込まれていた。
そして同時に膣内の筒は再び自由になり、勝手に移動を始めた。
「あぁあん!」
「筒を固定するしかけは昔からのものだけど、この鍵のしかけは私が考えてこっちで作らせたんだ。でないと、ジュリアは私のこと殺そうとするでしょ?」
―― ドキ! ――
「こ、殺すなんて、そんな!」
「あー別に今思わなくとも、そのうち思うかもね。あるいは兄にいわれてね。でも鍵を押し出す番号は私しか知らないから、殺しちゃうともう筒を固定できなくなるよ。貞操帯の鍵も全部まとめて箱に入れて番号の鍵を掛けているから、貞操帯だけ外そうとしてもだめだよ」
やっぱり、おじさまは私を完全に支配するための細かい仕掛けまで全部用意していたんだ。
「私が死ぬとどうなるか言ってごらん?」
「んあ…… おじさまが…… いなくなると…… ンッ…… 番号が…… わからなくなって…… はァン…… あたしは貞操帯が二度と脱げなくなり…… 筒が止められなくなって…… 永久に気持ち良くなりっぱなしに…… ハアアアアァン!!」
「うんうん、良くわっかているようだね。そのことを忘れないようにね」
「はい……」
「さぁ、世界を支配できる力を皆に見せてごらん? ニル、ケーキのロウソクに火を」
「はい」
こちらのしきたりに合わせて準備したらしいバースデーケーキ。
その火を消すのが、私の支配された力の仕事はじめ。
おじさまにもたれかかっただらしない格好のまま、股を開いた状態でその初仕事に身構える。
おじさまが番号を合わせ、鍵を押し出し、それを私の股間の鍵穴に挿入し、ゆっくりと回す。
お腹の奥が突っ張る感じがして、中でニュルニュル動いていた筒が止まった。
まだまだエッチな気分だけど、ボーッとした思考から少しだけ霧が晴れてきた。
「さぁ、考えがまとまるかね? 風で消そうと思うとだめだよね。ケーキもぐちゃぐちゃになるからね。ロウの蒸気をそっと炎の中から飛ばす感じで」
「は、はい……」
一旦集中できれば、与えられた仕事をこなすのはたやすい。
「うーーん!」
フッとロウソクは全部消えた。
すかさずおじさまが手を離す。
鍵が回転してから引っ込み、中の筒はまたニュルンと逃げた。
「ああああんんっ!」
一瞬でドロドロにされてしまう。
きっと普通の女の子ではここまでドロドロにならないのだろう。
誕生日が過ぎて、調教されちゃった私が本来の王女の淫乱さになったんだ。
何度振り返っても綿密に練られた仕掛けに驚く。
もう、この淫らな刺激に満ちた沼から、這い上がろうと思う気力すらなく、いつまでもいつまでもこの淫夢の中でまどろんでいたいと切望してる。
§§ ご褒美 §§
おじさまの膝の上で、ニルさんやユックさんの祝辞を夢見心地で聞いていた。
「上出来だよ、ジュリア。ご褒美をあげなくてはね」
え? ご褒美?!
ご褒美ときいて、はしたないほどに興奮しはじめた。
ニルさんの『イキたいなら最後の装置を入れます』はここへ繋がるんだ!
「ご褒美ッ!? ください! ください! やっとイカせてもらえるんですねっ?! ああああああ早くううううううう!」
「こらこら、ロイ君もいるのに、はしたないよ。そうだ、ここはひとつロイ君に手伝ってもらおうか」
「ぼ、僕にですか?」
「貞操帯を外したジュリアとお尻でできるよ」
―― ゴクッ!! ――
聞こえてるよ、絽以。それに『僕』ってダレよ。
朦朧としながらも脳内でツッコむ私。
ああでも私にとって最高のご褒美。
ユックさんがすぐわきの床に大判のタオルを敷いてくれた。
ワンピースを脱ぎ、貞操帯を外してもらい、そこに四つん這いになった。
浅ましい姿を晒す惨めさに全身が火照る。
公開エッチ見世物にされるんだと思っても、ご褒美のことで頭がいっぱい。
自分で股間を見て見ると、アソコからは中の筒の金色の基底部が顔を覗かせている。
こんなものが処女膜を避けて奥まで突っ込まれてるのが信じられなかった。
そう思ったとたん、その興奮で基底部がクンと引き込まれ、お腹の中でヌヌヌと蠢いた。
「あああーーん!」
くやしいよう!
きもちいいよう!
「ハァッ! ハァッ! ハァッ! 絽以はやくぅ!!」
四つん這いで下向きにピアスで引っ張られる乳首もきもちいいけど、今度は貞操帯が無いので、クリトリスのピアスも自由に動き、カチンカチンに興奮しているクリトリスが下向きに引っ張り出されて死ぬほど気持ちいい。
私、四つん這いになっただけでもう臨界に達してる。
絽以の準備ができたようだ。
ローションがお尻に塗り込まれる。
ふあっ!
ふあっ!
ふあっ!
興奮で蠢く膣のなかで、もう筒が移動して刺激しまくり。
ヌ! と入り口で絽以を感じたら、緩める暇も無くドーーンと奥まで突っ込まれた。
ボバァ!!と目から火花が散りまくり、ブチューーッと脳が麻薬で満たされる。
「アヒーーーーーーッ!!」
なんて声出すんだ、と自分でも思ったけど、喉が裂けそうに大量の呼気が吹き抜けて、感じたままの声しか出なかった。
「絽以ィ! お願いィ! ゆっくりいいィ!」
絽以はクリトリスのピアスをまだ見ていない。
調子に乗って腰をバンバン動かされたら、千切れちゃって即死だぁ。
そうだ。
今ここで絽以にヴァージンあげちゃえば!
だめだ…… 筒が入ってる。
そうだ、このまま筒を抜き取って、無理やり膜を破っちゃえ!
ひーーっ! とても恐ろしくてそんなことできない!
国民のためでもイヤッ!!
やっぱりダメだ……
そんな無茶なことしなくても、絽以とお尻エッチしてればいいんだもんね。
しばらく飼われてれば、そのうち何かチャンスがあるかもね。
「はう!」
妙なこと考えてたら、ズルーーッと絽以のが抜かれて、快便の気持ち良さ!
そしてまたズルーッと入ってくる。
「はあああぁぁぁぁン!!」
私のお願い通りゆっくりやってくれてるけど、クリピアスの刺激が強すぎて、私はもう昇天しそうだ。
エッチ漬けの奴隷としておじさまに飼われるのが私の運命なら、めいっぱい気持ち良く過ごしてやるゥ!
下半身がドーッと熱くなる。
ああああああ激しくイク前触れ。
神経が集中したところへ、ズルーーッと抜かれる排便の快感。
そのままハラワタごとひきぬかれそうになって、体内のどこか奥深くから、ゾクゾクする快感が昇って来た。
ひ! イク!!
おしりギューー!
イイイイクッ!!
おしりギューー!!
「あ〜あ〜あ〜あ〜あ〜あ〜あ〜あ〜あ〜あ〜あ〜あ〜」
全身が嬉しさで満たされた。
もう何がどうなってもいいと思った。
「ヒーーッ!!」
絽以がクリトリスをいじったので悲鳴を上げた。
ききききききききもちいいいいいいッッ!!!
「かはっ! そんな! いじっ! あああああああああ!!」
下方向に引っ張り伸ばされたクリトリスに、粘液たっぷりまぶしてつま弾くように指でいじってる!
ビクビクビクビクビク!!
ガクガクガクガクガクガクガク!!
おんなの快感は止まらない。
手足の感覚が急に消えて、体内の臓器だけに集中するようになった。
膣で蠢く筒。
「…………」
目を剥いて、口を開けて、言葉が出せずにただパクパクする。
イッてる……
イッてる……
イッてる……
まだ止まんない……
イッてる……
イッてる……
イッてる……
はふぅううううぅぅ……
絽以がゆっくり抜き、背中から優しく抱いてくれる。
全身のビクビクが収まったら、やっと正気に戻った。
快感の余韻も冷めぬまま立たされ、股間のドロドロはそのままに、貞操帯を戻された。
それでもまだ、ほわぁぁんとした夢見心地だった。
§§ 涙のバースデーケーキ §§
突っ立ったままボーッとしている私にニルさんがワンピースを着せて、席まで戻してくれた。
絽以もズボンを戻して席に着いた。
「ご褒美、よかったかい?」
「あ、ありがとうございました……」
「私もね、計画が順調でうれしいよ。なにしろ十何年も待ったんだからね。さぁ、お腹減ったでしょ? 食事にしようね」
ニルさんとユックさんが奥の扉へ消え、シャンパンの注がれたフルートグラスを2つ持って来て、私と絽以の前に置いた。
それから、空のフルートグラスをおじさまと自分たちの所へ置いた。
そこへ高そうな黄色いシャンパンが注がれる。
「きみたちのは、うめしゅ?っていうものの炭酸水割りね」
なーんだ。
「私達はシャンパンで失礼するよ。ユックもニルもごくろうさま」
「はーい!」
「エヘヘ」
「では。かんぱい」
「あたしフクザツだなぁ」
「俺も」
飲んだお酒は市販の安い梅酒のソーダ割りで、あんまりおいしくなかった。
―― グーーーー!! ――
すごい音がした。
「姫様、ずっと栄養食品のゼリーばっかりだったですからね。すぐにお持ちします」
「す、すみませんっ!」
私は真っ赤になった。
ふと思いついた。
こんな気分の時って、力使えそうだけど。
えーと、えーと、何か試すものは……
絽以ごめん、グラス倒すよ? おかわりもらってね。
うーーん!
とたんに膣内で筒がニュルンと動く。
「あハァ…… ン」
だめだ。
真剣に念じようとすると、下腹部に力が入って、たった今まで落ち着いてたのに、念ずる瞬間に動いちゃう。
「おやおや、ジュリアはまだご褒美が足りないのかい?」
「ち! ちがいますっ! 今、たまたま動いちゃったんですっ!」
真っ赤になって否定する。
おじさまの目付きからすると、私が力を試そうとしたことくらい見抜いていそうだ。
力は、私の性欲や性行動と深くリンクしているみたいで、膣の蠕動なしに発動するのは難しいみたいだ。
いままで膣が空だったので、膣の蠕動をいちいち確認しなかっただけだ。
それから、もう力を使っても、ちっとも気分が悪くならなかった。
今は脳の中が完全に力を使える状態になったみたいだ。
「おまたせしました」
広いお皿にちょこっとだけ盛られたオードブルのようなものを運んで来た。
「えー? これだけですかぁ?」
ニルさんに気安く尋ねてしまった。
「このあと、精力のつくお肉が出ますけど、胃が縮んでますからいきなりお肉だと気持ち悪くなりますよ」
「あ、なるほど」
「これ、地元の蒲鉾屋さんに特注で作ってもらった、いわば洋風のカマボコですね」
「へぇ」
全員に皿が揃うと、おじさまが食べ始めた。
それを見て私もいただく。
「おいしーー!!」
「でしょ?」
お腹が空いてたのでペロリと食べちゃった。
食べ終わるとさっき飲んだ梅酒のソーダ割りが効いて来た。
「アハハ、なんかきもちいい」
「姫様はァ、大人になったらイケるくちでしょうねッ!」
「そういえばお母さんも飲むなぁ」
「あ、もう皆さん終わりましたね。次の持って来ますー!」
ユックさんはニルさんに目配せして立ち上がり、また隣の部屋へ消えた。
いい匂いが漂って来た。
「おまたせでーす!」
肉より先にスープだった。
それもペロリと飲むと、やっと肉が出て来た。
こんなまともな食事って何日ぶりだろう。
極上の霜降り肉のステーキ。
ナイフで切れば中は美しいピンク色。
テレビで見たことはあるけど、目の前に置かれたことなどない。
思えば、お父さんは王様のくせに質素な暮らしだったなぁ。
たまにはステーキも出たけど、それなりに美味しい、高価ではない肉。
きっとあの肉屋のおじさんも昔家来だったのね。
食べるとケーキのように柔らかく、口一杯に肉汁が広がる。
「あー、ごはんありますか?」
絽以が恥ずかしいことを言っている。
でも思わず私も欲しくなる。
「いーですよー? あったかな?」
しばらくユックさんが中座して、ごはんを一膳持って来た。
「あ! あたしも!」
「姫様すみませーん、今ので終わりですぅー」
あーん、くやしー!
全部食べたら、コーヒーが出て、さっきのバースデーケーキが切り分けて出された。
『おたんじょうびおめでとう』
薄い板チョコに白のチョコペンで書かれた、いかにも既製品ぽい文字。
私のケーキにだけちょこんと載せられたそれを見ていたら、涙で一気に視界がぼやけた。
「うっ…… うっ…… ヒック…… ヒック……!」
「ひ、姫様どうしました?! なにかまずいことしました?あたしたち」
「うう…… ヒック…… ちがうんです…… ほんとだったら、今頃お父さんたちと…… ヒック…… なのにあたし……こんな……首輪に……ピアス…… ああーーーん! グスッ! グスッ! 心配もしてる……だろうし……」
「うんうん、では明日兄には連絡させよう。『奴隷になりました。素直に言うこときいてます』と言ってもいいかね?」
「い、嫌あっ!! グスッ…… ……いいです……言っても……」
「うんうん、そうだよね。中途半端な物言いは不必要な争いの元だからね。魚やのおやじに包丁持って攻め込まれてもかなわないからね。もっとも、ジュリアがいれば魚やの腕を千切るくらい簡単だものね」
私はゾッとした。
「写真も送ろうか? 写真はいやかね?」
「い、いやです!」
「んー、首から下ならいいだろう?」
「いやですー あーーん! あーーん!」
「ふーむ。せっかくのケーキがおいしく食べられないなぁ…… 胸のピアスのアップだけならどうかね?」
「もう…… 好きに……してください…… グスグス……」
「うんうん、それでいいね。ではケーキ食べてお開きだ」
ケーキは手作りらしく、スポンジもクリームもめちゃくちゃおいしかったが、『おめでとう』の板チョコは、やたらと苦かった。
涙のしょっぱさとチョコの苦さを混ぜ込むようにして、ゴクリと呑み込んだ。
「しかしね、ジュリアはすごいよ。さすが私の姪だ。本来、洗脳なんてね、簡単なんだよ。でも、それでコントロールしても、すぐに使い物にならないほど狂う、と文献にあった。すでに獣のように性欲ばかりになった王女は、それしか考えないから、それはそれで扱い易かったそうだけれども、やはり早めに使いものにならなくなったそうだ。ジュリアは性欲があって正気。私は最高の道具を手に入れたよ。ご協力ありがとう。そしてロイ君も」
絽以は本当に憎らしそうな目で睨んでいる。
やがてコーヒーも飲み終わると、ユックさんが席を立って片付けはじめ、絽以もニルさんに連れて行かれた。
ニルさんが戻って来て、私のリードを引き、また調教部屋へ連れて行く。
さっきまで心の片隅にあった僅かな希望や精神的余裕は、完全に消え失せた。
巧妙な装置によって完全におじさまの支配下に置かれた私。
いつか逆転できるという一縷の望みもなくなり、今の私は身も心も完全に奴隷だった。
真剣さが今までと全く違う。
ただ逃げられないんじゃない。
僅かに逆らうことすらできない。
歩きにくいブーツでガツガツと廊下を歩きながら、拉致されて初めて、心の底から絶望した。