檻姫
おまけ リリア 前編
城内をあの全身黒革拘束衣で締め上げられたメイドがうろつくようになった。
本来なら、私か妻達の誰かということになるのだろうが、彼女はリリアと言って、バルベロッテの実験の犠牲になったメイドの子だ。
バルベロッテは私にも妻達にも愛情のようなものを見せたことはあるが、もっと深い所では自分の欲望に忠実で冷酷な男だった。
快感の限界を見極めるための実験台となり壊されたリリアを見ると、私はバルベロッテを切り捨てた事を微塵も後悔しない。
今リリアが着ている拘束衣はこちらに連れてきてからモリスに作らせたもので、手の指はきついなりに全部自由に動くし、口枷も取り外しが出来る。
しかし肘の動きをストラップで制限され、給仕に支障のない範囲でしか動かせないようになっている。
そうしないと所構わず自慰を始め、また壊れた状態に戻ってしまうからだ。
今、彼女は自分の暗部と戦いながら必死にリハビリしている。
白く染めた革のフリルカチューシャやフリル付き革エプロンなどを装備し、革に制限された不自由な体、高いヒール、体内前後に埋め込まれた金属棒などに責められながらかいがいしく仕事をこなし、欲情する時間帯としない時間帯を区別できるよう努力しているのだ。
夜の検査でストラップを留めている封印紙が破れていなければ、本日の自慰抑制合格ということで、一晩たっぷりとお相手…… って、今日は私の番?
いや、嫌なのではなく、私の手技などでは申し訳ないなと思いつつ、彼女の背にある封印紙を見つめながら後ろ姿を見送った。
「あ、今晩はエッス様だぁ! 聞きましたよぉ! エッス様ってぇ、お姫様だったんですねー、スッゴーイ」
「王女など面倒なだけだぞ。悪いやつに拐(かどわ)かされたりな。ちょ、調教されたりな」
「でもあたしぃ、エッス様みたいなお姫様ばかりだったら大好きだな。聞いて下さいよぉ、領主さまが懇意にしてたトルトロストのプリンシア姫ったら、大した器量でもないくせにぃ、あたしに5回もお茶を淹れ直させたんですよぉ!」
「そうかそうか、ご苦労だったな。あまり人を悪く言うな」
「もう、エッス様ノリ悪ゥー! もういいや、ねぇ、ご褒美はやくう!」
「あー、今日は私なんかで済まんな。えーと、まず口上か。あー、本日リリアはー一日欲望に打ち克ちー、治療のー著しい進捗をー認めるのでーここに褒美をー授けるー(棒読み)」
「口上なんていいからぁ、はやくぅ!」
「私の趣味丸出しだが、良いか? まずはこっちから……」
私は常に装着している腰と胸の甲冑の上からシャツを羽織り、下はメダルでクリトリスが不意に引かれるのを防止する下履きを穿いている。
その姿で丸裸のリリアに寄り添い、彼女の膣口に指を差し入れた。
「はあん!」
自力で抑制し切ったとはいえ欲情はしていたわけで、昼間ずっとあの黒革拘束衣姿のまま過ごしたソコは、指1本では何の抵抗も無い程に潤み切っていた。
指先をそっと曲げ、天井を探る。
リンダの受け売りだが、イイものはイイはず。
ここだな……
柔らかい膣ヒダが一部コリコリと硬くなった部位を探り当て、指先でそっと手前に撫でる。
「くあッ!!」
リリアの体が硬直した。
手応えのあった箇所から前後左右に指を動かし、最も反応の強い部位を更に探り、指で強く押す。
「あっくうううンンン!!」
硬直し、ビクビクと痙攣する。
僅か1cmにも満たない指の動きで、人一人が自在に跳ねる様は誠に不思議な興奮を呼ぶ。
私個人の好みそのままに、一点圧迫と、周囲を乱れ押しすることを繰り返す。
「ハヒ! ハヒ! ハヒ! エッス様ァ! キモチイイイイ!!」
奥に近い部分をコロリと引っ掻くと、ぎゅいいいんと膣が収縮して指が絞り出されそうになる。
その収縮する筋肉の環を乗り越えて指を奥に差し込むと、熱い肉ヒダが小指ほどの細さに締まったゾーンに入った。
リリアの両足がバン!と延びて、無言のまま腰がガクンと浮いた。
おっと。浮いた腰に手を追従させ、ぬめりで指が抜けないように、更に深く押し込む。
「ぎ。 ………………」
歯噛みするように一声発したかと思うと、リリアは腰を浮かせたままガクガクブルブルと痙攣した。
その姿勢のまま20秒ほどして、カクンと弛緩した。
膣が緩んだので、再び天井の刷り上げからもう一回スタートする。
「ハヒイ! ハヒッ! エッスさまぁ、休憩!休憩!」
聞き入れず、これを4、5回ほど繰り返したら、反応が鈍くなってきた。
今度はモリス特製のディルドーだ。
腕でもすんなり入りそうなほどトロトロに緩んだ膣口に、淫水で磨き込まれた木製の張型を当て、ゆっくりと押し込む。
「アーーアーーーッッ!!」
さっきと違った顔で切なげに喘ぎ、ディルドーの侵入に合わせながら長く悲鳴を上げた。
丁度カリ部分があのゾーンに当たった辺りで、2,3回前後に摺ってやったら、悲鳴に近い絶叫を上げて、また果てた。
でも止めない。
そのまま子袋の入り口付近まで押し込み、膣の行き止まりの手応えの辺りで、優しく突きまくる。
「アーーッ! アーーッ! アーーッ!」
暴れる暴れる。
手に馴染む良い形の乳房を片手で揉みながら、何度逝っても許さず、繰り返し突きまくる。
「ヒフッ! ヒフッ!」
呼吸が浅く短くなったので、本当にちょっと休憩だ。
「ハアッ…… ハアッ…… エッスさまぁ、素敵ィ…… キモチイイ……」
「そうか…… それはよかったな」
「おっぱいもんでぇー」
「こうか?」
私は土に半分埋まった丸い石を掴むように、両手でリリアの左右の乳房をそれぞれ掴み、ぱふぱふと揉んだ。
「ああん、ちがーう! もっと、こう、両方むにゅっと掴んでぇ! エッス様はおっきーんだから、自分で揉むでしょ?」
「自分では揉まんな」
「うっそー! しないんですかー?」
「ああ、あまり自分では揉まぬ」
「キキキ! じゃあ彼氏だ、グレちゃんだ。グレちゃんに揉まれてっでしょー?」
私は真っ赤になった。
「あ! あれは彼氏などではない! 揉ませたりもしてない!」
「じゃぁそれ以外はしてんだ」
「してないってばぁ!」
「にへー、えらそーな言葉遣いが崩れた時のエッス様ってかわいいー!」
「ちょ、バカなこと言っていて良いのか? ほらほらまだ御褒美は終わっておらぬぞ」
「ひゃあん! いきなりソコ摘むなんてずるいー!」
「そうそう、乳房揉むんだったな」
私は寝台の枕を背中に敷き直し、上半身を斜めに起こした状態でもたれ掛かった。
そして私の体の前に裸のリリアを同じ向きに座らせ、後ろから抱き抱える。
私の目の前にリリアのうなじが来る。
お互いに頭を左右に避けて、私はリリアの左肩越しに顔を出す。
両脇からリリアの胸を掴み、絞り出すように揉みしだく。
「はあああぁぁぁぁん! エッスさま、きもちいい……」
私のより小振りなので、力の加減に戸惑うが、自分がされたら気持ち良いだろうと思う手付きで、母乳を出させるつもりで搾る。
「くはああぁぁん! やあん、おっぱいの中身出ちゃう」
その時、カチコチに尖ったリリアの左右の乳首に、スジ状の傷を見つけた。
左右の指をCの字にして、さながらピアスリングのように左右の乳首を摘まみ、悪戯っぽく刺激しようとした。
その刹那。
「イヤーーーーッ!」
物凄い叫び声を上げて上体を起こし、体を丸めてガクガクと震えた。
「キャヒッ! ギャヒッ! 嫌ああああ! あたしの乳首をいやあああ!」
「おい、どうした?」
「千切れちゃった! あたしの千切れちゃった! アハ! アハハハハハハハ! きもちいよぉ?!」
「どうしたんだ、千切れてなぞおらん! 強く摘まんだのなら謝る! おい、リリア!」
「あ! そいえば、あんたもピアスしてるよね! 千切ろうよ! ブチン!て! きんもちいいいいよぉぉお? けけけけ」
向き直ったリリアの形相を見て、私は真っ青になった。
「や、止めろっ!」
狂気に触れて、心底恐かった。
「このやろおー 千切らせろー! すごいチョー快感なんだからぁ!」
そんなこと恐ろしくて死ぬほど嫌なのに、王女のプライドというのか、私のバカな部分というのか、変にあまのじゃくな部分が勝手に発動してしまった。
「済まぬ…… どの手技で機嫌を損ねたのか知らぬが、御褒美係が受け手を怒らせては失格。私の乳首を千切って気が済むなら好きにするが良い」
シャツを捲ってメダルの下がった乳首をペロリと出した。
意に反して、処刑前のゾクゾクに酔いしれてしまう。
「……」
こっちを向いたリリアの眼光がストンと正常に戻った。
「アハ? やだぁ、エッス様、あたしにおねだりですかー? 乳首舐めればいいですかー?」
「あ、いや、済まん」
シャツを戻し、胸を仕舞った。
「その、どこか嫌な所に触れてしまったか? 済まん……」
「あ、ああ…… すみませーん、あたしぃ、乳首にピアスされてて、それを快感欲しさに自分で引き千切っちゃったんでーす」
「そんな……」
「幸いぃ、縫い合わせてもらってー、ちゃんと元通りになりましたけどぉ、その時の快感が悪夢のように襲ってくることがあるんですぅ。すみませーん、あたし取り乱しましたぁ?」
「ああ、少しな。だが大事なくて良かった」