わかりきった罠
毎度の一番奥の部屋であたしはギョッとした。
あのいつもの椅子の座面に、ご主人様のモノそっくりの触手製らしき張り型が生えていたからだ。
最初ギョッとして…… そのあとトロンとなった。
あれ、お尻に収めたら、さぞかしキモチイイだろうなぁ。
表面に纏わりつくトロトロの粘液が、さっきまでの排泄体験の記憶と容易に重なり、お尻であのトロトロを味わった時の快感レベルを想像して股間が熱くなる。
この時点で触手どもにはもうバレた。
あたしがお尻の快感を覚えちゃったこと。
お尻でアレをくわえこみ、身体を上下にくねらせてる自分の幻影が、目の前の椅子の上に見えた。
熱に浮かされたように、その幻影と我が身の実体を重ねようと歩を進める。
椅子を跨ぐ。
ビスチエは気を利かせてお尻を開口する。
まだ体温で暖められていない冷たい触手が、さっき何度も太い玉を排泄し続けてほぐれ切った肛門に触れる。
そのすぼまりは既にくつろげられる癖がついて緩み、容易に先端を呑み込んだ。
1mm単位でゆっくりと腰を落としてゆく。
最初に出した2cmの玉程度の太さまでは、何の苦もなく呑み込んだ。
そのあと最大径までは、脂汗を流しながら呑み込んだ。
呑み込んだ、といってもカリ周囲が最大径だから、まだ亀頭の先っぽだけだけど。
うぐぐぐぐぐぐ
どうしてもカリが通らない。
中からうんちのように出す時は、このサイズの玉をなんとか出せたのに。
出す?
確かに、出す時ってもっと拡がってるかも。
もともと何かを入れる場所じゃないから、出る方向にのみ極限まで開くようになってて、逆方向は周囲の肉を巻き込んで少し狭くなっちゃうんだ。
今は腸はカラッポだから、万が一にもここで汚物を撒き散らすことはないかもと気づき、ためしにうんち出すみたく息んだ。
うーーーーーーーーーーんアアアアッ!!
あ! 緩む! 緩むよ!!
さらに息む。
うーーーーーーーーーーん!!
「アアアアアアアアアアッ!!」
喉から搾り出すように声が洩れ、全身の産毛がパリパリと総毛立つ程の悪寒と戦慄のあと、ドンとすごい音がして、あたしは椅子に座ってた。
あれ? 触手は?
一瞬遅れて、猛烈な快感に全身を貫かれた。
「アーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!!!」
地下室の石組みが崩れそうなくらいの絶叫。
一気に全部入っちゃった!!!
とんでもないことが起きた恐ろしさに、反射的に立ち上がろうとしたら、滅茶滅茶気持ち良くお尻が引っ掛かった。
「ああん!!」
ガタンと椅子が鳴る。
「らあッ!」
入ってる!
ほんとに入ってるよぉ!!
にっちもさっちもいかない、お尻を開きっぱなしにされたまま、椅子に固定されたおぞましさと快感に倒れそう。
恐る恐る触手スカートを捲って股間を見ると、両足の間、紫色の触手ビスチエの向こうに、歪みもせず直立する触手ペニスの付け根が見えた。
もちろん、くわえてる部分は直視できないけど、間違いなくあたしに刺さってる。
お尻の拡張感と視覚情報が一致し、改めてドバッと汗が出た。
さっきの幻影が甦る。
茂みでの連続排泄の快感が忘れられず、開きっぱなしのお尻にコレをくわえたまま、幻影をなぞるように、あたしは中腰になって上下に身体を動かしはじめた。
ヌヌヌと排泄快感が走り、カリで引っかかる。
ズズズと挿入快感が走り、腸の奥が突き上げられる。
ああああ……
きもちいいよう……
何度も何度も貪っていると、カアアアッと下腹部が熱くなってきた。
うわ、あたし、お尻で、イクの?
一突きごとにおま○こからじゅばっじゅばっと淫汁溢れてるのがわかる。
こんだけ太いと、腸の方から膣と子宮が圧迫されちゃう。
膣に詰まってる触手も手伝って、未知の超快感に襲われる。
あああああ、腸・膣・尿道と、全部みっちみちだぁ!
あたし、ほんとに滅茶苦茶にされてんだぁ!
ぐうううううんと引き付けて、目の裏真っ白になってイッた。
意識が途切れた。
*****
「またかよ! おい! クリスったら!」
「んあ? あ、マーサ」
「また寝てたぜ?」
「ああ、ごめん……」
「今度は椅子に座っただけで寝たんかい…… でもなんで? やっぱ体調悪い?」
触手メイド服は着たままなので、お尻の様子が見えるはずもなく、マーサにはあたしがただ椅子に腰掛けてるようにしか見えないんだ。
「よいしょ」
ああ、しまった!
立ち上がる時にマーサにお尻を犯されたことバレちゃう!
いや、犯されたんじゃなくて自分から貫いたんだけど。
……あれ?
お尻開きっぱの違和感のまま、スッと立ててしまった。
え?
ああああああ!
お尻のモノ、ビスチエと融合して一体化してる!!
うそ……
もう抜けないの?
「どうした? またトイレかい?」
ブルブルと真っ青な顔をしたままマーサにすがり付くように立った。
ああ、ベッキイは!
ベッキイはこの気持ちのまま、あんな!!
あんな姿で晒されてるんだ!!!
「あ…… や…… イク……」
「え? 何言ってんだよ。 イクって…… え? マジ?」
再度急に込み上げてきた快感に、ブルブル震えながらマーサにしがみついて、こくりと頷いた。
「イクの? え? ちょっと、どうしたの?」
「マーサ、あたしのこと見ないで!」
「え? おい! ちょっと!」
普通にしてるのにイク惨めさ、そしてそれを見られることで押し寄せる、被虐の快感。
「イク…… 見ないで…… 見られてイク…… マーサに見られただけでこんなに気持ちいいなんて……、大勢に見られたらもう、あたし……」
「何言ってんだよ! クリスってば!」
「イク…… ああああ アーーーーーーーーーーッ!!!」
儚(はかな)げな笑みをマーサに向けて、その後思い切り眉を寄せて、立ったままイッた。
あたしはこの時、ベッキイのようになる条件が揃ってしまったことを全身で感じたのだった。