あの子に貞操帯
5 到着までの準備
5 到着までの準備
夏休みに入っても、まだスポーツクラブ通いは続いていた。
蝉の鳴き声がうるさい公園で待ち合わせする。
俺がベンチで待っていると、すぐに小竹原が来た。
「おはよー 暑ッいねー」
「んー、まぁな」
「どうしたの? 元気ないぞ?」
「貞操帯来た後って、俺は管理だけしてればいいんだろ? 小竹原さん、彼氏とか出来たらどうすんの? 鍵返す?」
「アハハハハハハハハハハ!! まだ貞操帯が来てもいないのに、鬼が笑うよ! ばッかだなぁ! それで暗いんだ」
「悪いかよ。 そんなに笑うなよ」
「ごめんごめん、ウフフ…… やっぱり、ちゃんと言わなきゃダメ?」
「なっ、何を?」
「今の引き締まった神山くん、カッコ良くて好きだよ」
「それは前にも聞いたよ」
「だから、好きだってば。好きでもないヤツに貞操帯のこと頼むわけないでしょ」
俺はガラにもなく真っ赤になってしまった。
「そ! だ、だって! それは……! 俺に秘密を知られて……」
「そりゃぁ最初はね。でもきっかけなんて、何だっていいじゃない?」
「そりゃそうだけどさ」
「逆に今の神山くんて、クラス女子の憧れの的なんだよ」
「ばーか、ンなことあるわけないだろ」
「はぁ〜 知らぬは本人ばかり、か。あたし神山くんがカッコ良くなってから話し掛けるの怖かったんだから。何て噂されるかわからなくて」
「じゃ、小竹原さんと俺は付き合ってるってことにしていいの?」
「うん。中途半端にコソコソやってると、へんに誤解するやつがいっぱい出るから、もう堂々とね」
「あはは、実感ないや」
「じゃ、実感!」
公園のベンチに座ってる俺に、いきなり前屈みに顔を近づけて、チュッと唇同士短いキスをした。
俺はまたガラにもなく赤面した。
「行こ?」
「あ、あぁ……」
茫然とする俺の手を引いてズンズン行く小竹原。
未だそのフワリとした感触が残る自分の唇を、俺は恐る恐るチロリと舐めた。
午前中いっぱいくらいスポーツクラブで過ごす。
俺は完全にやる気モードになっていて、水着もちょっとマシなのを揃えたし、サポーターやキャップも買った。
マシンの時もジャージをやめ、Tシャツに短パンを愛用している。
泳ぎも小竹原に教えてもらい、クロール・ブレスト・バックとそれなりに泳げるようになった。
バタフライは挑戦してみたが俺には無理だ。
相変わらず小竹原の水着姿はたまらない。
プールサイドから小竹原が泳ぐ姿を眺めながら、貞操帯が来たあとのことを色々考えた。
小竹原はいったいどうして欲しいのだろう。
貞操帯が好きなのだから、俺とのセックスには興味ないのかもしれない。
今の時代に処女にこだわるのも笑えるとは思うが、もし小竹原が処女だったら、そっちには手をつけないようにしよう。
いや、むしろ小竹原が抱いてくれと言っても、無理矢理処女を守らせよう。
だが俺はどうすればいい?
たった今でも、目の前を行ったり来たりしている美マソコに、自分のチソコ突っ込んでみたい!というのが俺の偽らざる欲望だ。
小竹原とつきあって、それを我慢するのはとても出来そうにない。
そうだ、小竹原にはオマソコの代わりにフェラをしてもらおう。
フェラチオなら後始末も楽だ。
そして少し慣れたらアナルもいけるかもしれない。
せっかくディルドー買ったのだから、強制装着させてアナル訓練させよう。
『めーれーしてよ。従うよ』
俺は今、やっと小竹原が電話で言った言葉の意味を完全に理解した。
小竹原は管理して命令して欲しいんだ。
そうだとすると、貞操帯が到着するまでにもいろいろとやることがあることに気付いた。
スポーツクラブの帰り。
「なぁ、ひとつ聞いていいか? 小竹原さんって男性経験無いんだろ?」
「うん。これまでの話から分かるでしょ。 ……って、さらっと聞かないでよもう! さらっと答えるあたしもあたしだけどさ」
「よしよし。 ところで、これからアダルトショップ行かね?」
「うわぁ、いきなり何よ。べ、別にいいけど、へ、平気よ、そんなトコ。で、でも、ちょっと変装させてよ。また同じ公園に30分後でいい?」
「ああ。俺も荷物置いてくる」
「じゃ、後(の)ッちー」
「ん」
のっちーってなんだよ。
俺が公園に戻ると、綿のワンピースを着た眼鏡の女の子が立っていた。
「アハ」
「うわ、小竹原さん? 眼鏡にして髪をアップにしたらぜんぜん分からないな。でもスタイルいいのが逆に目立つな」
「い、いいのよ、クラスの誰かに目撃されなければ」
「まぁ、そうだよな」
スポーツクラブに行く時はあまり感じなかったのに、今こうやってデートのように連れ立って歩くとドキドキする。
「な、何を買う気?」
「んーと、アナル用品」
「ひ!!」
「貞操帯来るまでまだかかりそうだから、今から慣れておいた方がいいことを先にしとこうと思ってね」
「何するの?」
「夫婦だとこういうとき便利なんだけどなぁ…… えーと……」
「いいよ、夫婦で。神山くんが良ければ、だけど」
俺は真っ赤になってしばらく口が利けなかった。
「なぁに? 赤くなってんの? おっかしー」
「ま、まぁ、それには早いけど、えと、なんだっけ、そうだ、アナル」
「うん、何するの?」
「浣腸してみて欲しいんだ」
「ひ!! 無理ッ! それは無理ッ! うんち出すとこなんてとても見せられないッ!」
「ばっ、ばか、違うよ。自分でだよ」
「え? あ、あぁ…… なぁんだ。良かったー」
「俺もさすがにスカはまだダメだ。でもお尻でのセックスには興味あるんだ。ネットで調べたら、ちゃんと洗浄することがスマートにやるコツみたいだから」
「そ、そうなんだ」
「だから、浣腸セットとお尻の栓を何サイズかとローションを渡すから自分で試してみてくれよ」
「わ、わかった」
電気街の外れにあるアダルトショップに着いた。
ここは安くてディスプレイが楽しいので、暗いイメージがなく、みんな気軽に入れる。
「へー、もっと怪しいとこかと思った」
「いや、置いてあるものは充分に怪しいぞ」
「うわ、いやだー、刺激強すぎるー、なにあれー、おちんちん?」
「見たことないの?」
「ないよー、あたし一人っ子だもん、えー、あんなにイボイボしてんの? 神山くんのもー? ひー」
「ちょ、バカ、あれは誇張してんだよ」
「あうー、2本生えてるー、神山くんのもー?」
「おいおい、自分で貞操帯嵌めたいってヤツがどこまでカマトトなんだよ。あの小さいのは、その…… クリッ…… ク……」
「何よう、自分だってハッキリ言えないじゃない。あたし言えるよ『おちんちん!』て」
「おい!」
アダルトショップの店内ですっごいかわいい子が、大きな声で『おちんちん!』なんて言うもんだから、一気に視線が集中した。
「あ……」
さすがの小竹原も恥じ入って真っ赤になった。
「さっさと済まそう」
「ごめーん」
小竹原は照れくさそうにペロリと舌を出した。
医療器具のコーナーで使い捨て浣腸を大量に買い、最大径1.5cm、2.5cm、3.5cmの3種類のアナルプラグを買った。
なんで浣腸液ってこんなに高いんだ?
原液とシリンジの組み合わせの方が、コスト安いかと思い値段を比較してみたが、薄める手間や感染のリスクにはとても見合わない程しか安くならない。
だったら1つずつ50%グリセリン液がパックになっている方が小竹原も絶対楽なはずだ。
ローションは2Lの巨大ペットボトル入りで安かった。
帰り道に使い方を説明する。
「最初はローションをたっぷり使った方がいいみたいだぜ。慣れたら必要部分だけにしないと、そこらじゅうベッタベタになるって」
「うん」
「あとの細かいことは俺も自分でやったことないからわからない。任せるから、最終的にこの一番太いアナル栓が入るようにしてよ」
「わ、わかった。これって3cmなのね?」
「いちばん太いところが3.5cmで根元のくびれてるところが2cmだってさ。貞操帯用に注文したディルドーは根元まで4cmの同じ太さだから、実際にかなり太いよ」
「そんなに拡げちゃうのぉ〜? 拡げてどうするのぉ?」
「俺のを入れさせてもらう」
「あなっ! アナルセックスぅ?!!」
歩きながら大声で叫ぶもんだから、また人目を集めてしまった。
「ごめん……」
「ま、ゆっくりやろうぜ」
「うん。 あははははは」
小竹原は俺の脇にスッと自分の腕を通した。