あの子に貞操帯

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  9 貞操帯装着  

 9 貞操帯装着

 翌日。
 朝から興奮と焦燥が渦巻く脳を抑え、英単語なんかを勉強したりしていた。

 ゆきのの姿を想像し、ゆきのの姿に貞操帯を重ねる。
 俺は支配欲を満たし、ゆきのは被虐願望を達成する。

 今になって急に心配になってきた。
 サイズが合わなかったらどうしょう。

 だがゆきのの言葉を思いだす。
 『合わなかったらもう1つ作るよ』

 ゆきのはそこまで真剣なんだ。
 俺も精密に計測した。
 ゆきの自身も再計測して確認した。
 ネット上の詳しい人の話も良く読んだ。
 絶対大丈夫だ。

 ――ピポピポーン――

 税額分の金はすでにキッチリ用意して封筒に入れてある。
 その封筒を掴んで玄関に出る。
「こんにちはーっ。お届けものでーすっ。えーと、着払い分がありまーすっ」
 金を渡し、ハンコを押す。
「ありがとーございましたーっ」
 受け取った荷物は、思ったより小ぶりだった。

 ベタベタと巻かれた透明の梱包テープ、一度開封して再度閉じた跡がある。
 箱の注意書きシールは全部ドイツ語。
 ビニール袋がベッタリと貼り付けてあり、そこに送り状と通関の書類が入っていた。

 すぐに開封したいはやる心を抑え、部屋に戻って道具を準備する。
 ベルトをフィッティングするための道具に、俺は100均で売っていた麺棒を選んだ。
 あとは除菌アルコールスプレー、ワセリン、アロエ軟膏など。
 タオルやティッシュはあの部屋に充分ある。

 ゆきのに電話する。
「きたぞー、そっちいくぞー」
『……ァッ……』
「もしもし?」
『……ァァッ……』
「おい、ゆきの、大丈夫か?」
『うみゅー。ごめんね、あたし勝手に……オナニーしてんの……』
「おな…… って、おまえ!」
『あああん! ……ッはァッ! 自分の…… おま…… んこに…… お別れ…… してんの……』

 『オマソコにお別れ』というゆきのの言葉を聞いて、俺はもうチソコがズボンを破りそうだった。

「わ、わかった。すぐ行くから」
『早く来て…… はふッ……』
「おう」
 携帯を切ってマンションへ急ぐ。

 ―― ピンポーン ――

 ドアチャイムを鳴らすと、しばらくしてからドアチェーンの外れる音がして、ゆきのがドアを開けた。
 ゆきのはピンクのビキニの水着を着て、上気した顔に潤んだ瞳を載せていた。
 ビキニの股間は慌てて戻したことを物語るように左右非対称にずれ、ピンクの生地にポツポツと暗赤色のシミがいくつもついていた。
 そしてソコの一番中心には更に暗い色のシミが拡がり、この位置から見ただけでも夥(おびただ)しい量の愛液が染みていることがわかる。

 部屋に入ると甘酸っぱい香り。

 ゆきのの…… 雌蜜の…… 香り。

 緩いオナニーをずいぶん長い時間何度も繰り返したらしく、ワンルームマンションの部屋全体どころか玄関まで淫らな香りが充満していた。

「たっ、ただしクン…… あたし、壊れそおぉ……」
「ずっとオナってたのか」
「ウン……」
「いよいよ望みがかなう日だ。好きにすればいいさ。一発でフィッティングできるといいな」
「ウン……」
「気は…… 済んだか?」
「ウン……」
「オマソコにお別れできたか?」
「はふッ……! ……ウン……」
「よし、それなら早速嵌めようぜ」
「ハアアアアアアア!!!」

 俺は早速部屋の中央にビニールシートを敷いて、傍らに貞操帯の箱をドンと置いた。
「あけるぞ」
「うん……」
 ゆきのは俺に寄り添いながら、水着の上から股間をくちゅくちゅと指でいじっている。
 女の子って、本当にエッチな気分になるとここまであけすけなものなのか。

 ビリビリと梱包テープを剥がし箱を開けると、緩衝材に包まれた貞操帯が入っていた。
 掴んで取り出すと……重い!!
 まさに金属の塊だ。

 ビニール袋に鍵が2種類、それぞれ小さなリングに3個ずつ通ったものが貼り付けてあった。
 ビニール袋を開封して手に取る。

「それが…… あたしの鍵なんだ…… あたしの性器を管理するための……」
「そうだな。これが無いと、もうゆきのはセックスすることも、イクこともできなくなるんだ」
「はふっ……」
 軽く吐いたゆきのの甘い溜息なのが、俺の脳髄の中心を痺れさせる。

 ベルト部分と自慰防止板部分にはもう南京錠が取り付けてあった。
 どっちがどっちの鍵かわからなかったので、それぞれ試してガシャッと解錠した。

 Web上の写真で見た通り、南京錠のツルの部分がステンレス削り出しの堅牢な保護カバーで覆われている。
 削り出しの金属の塊の持つ無慈悲な冷たさが、嵌められてしまうと本当に逃げられない真剣さを醸し出す。
 このカバーの内側にピンの通る穴があり、それが貞操帯のベルトに出ているピンを噛み込んでロックする構造だ。
 機構がシンプルなだけに、それを構成する部品がここまで堅牢だと、どんな機械を使えば壊せるのか想像もつかない。
 もちろん、レスキュー隊が使うような凄まじいカッターを使えばベルトは切れるだろうが、肌に密着したベルトを肌に傷をつけずに切るなんて不可能だ。

 外した南京錠にはそれぞれ鍵を差したままシートの上に置き、本体を一度開いてみる。

 自慰防止板はブラブラするので抜き取ってしまい、それもシートの上に置く。

 この貞操帯は腰に巻くベルトと、オマソコを覆う「シールド」と呼ばれる板と、その上からさらにオマソコのビラビラを覆う「自慰防止板」と呼ばれる板で構成されている。
 シールドの尻側はビニールコーティングされた太いワイヤーで腰ベルトの背中側と接続されていて、接続部は溶接されているので外せない。
 ベルトを装着するために着け外しする部分は正面の南京錠だけで、ここが外れない限り脱ぐことはできない。
 その部分は、腰ベルトの一端に太いピンが溶接されていて、そこへ腰ベルトの反対側の端に明いた穴を通し、さらにその上からシールドの端に明いた穴を通して、まとめて南京錠で留める構造だ。

 まずシールドを外す。
 次にベルトの合わせ目を外そうとすると、ベルトが硬くて外せない。
 良く合わせ目を見てから、擦り合わせに気を付けてスライドさせると外れた。

 ぐあ、それにしてもこれだけ厚いステンレス板のベルトって、こんなに硬いんだ。
 ギギギと開いてみると、それだけでもう歪みそうだった。

 開いたベルトと自慰防止板を持ってバスルームで洗った。
 買ったばかりの新品にいきなり水を掛けるのは気が引けたが、バイキンよりも工作機械などの汚れがついているかもしれないと思い、きれいに洗った。
 一度全体にアルコールスプレーを掛け、再び水で流してから拭き上げた。
 うやうやしく抱えて部屋に戻る。

 ゆきのはビニールシートの上に突っ立ったまま物凄く妙な顔をしていた。
 困ったような、笑ったような、歪んだ顔。
「そうだ、今尻にアレは入っているのか?」
「うん……」
「サイズのこととかあるから、一応抜いてこいよ」
「うん……」
 ゆきのはそのままトイレへ入った。
 ゆきのはプラグを抜き、風呂場で尻とプラグを洗ってから、下半身裸のまま戻って来た。
 顔は涙で濡れていた。

「いやなの?」
「あふっ…… ちがうのぉ…… もう、わけわかんないのぉ……」

 俺はそう聞いた瞬間、すごく大事なことを放置したままだったことに気付いた。
 ゆきのは気持ちが宙に浮いていて、空中でバラバラになりそうなんだ。
 自分が好きで始めたこととはいえ、一番大事なよりどころのようなものがポッカリ抜けているんだ。
 それは本来俺が構築しなければいけない絆なのに、状況に流されてうっかり放置しっぱなしにしてしまった。

 俺は服のまま、ゆきのをガシッと抱きしめた。

 この、華奢なわりに付くところにしっかり肉のついた美しい体が、心ごと俺のものなんだ。
 この体を、俺が管理し、セックスすること以外はほぼ自由にしていい。
 しかしそんな理屈上の支配よりも、ただ素直にいとおしいと思う気持ちがここにある。

 腕の力を緩め、ゆきのの顔を見て、そっと唇を重ねた。

 お互いぎこちなかったが、少し舌を絡めあったりして、互いの粘膜の体温を探りあった。

 それから、ゆきのはしばらく無言だった。

 俺が腰にベルトを回し、サイズを合わせている間、例の手を頭の後ろで組むポーズをして、されるままになっている。
 しかし、ゆきののオマソコは、あとからあとからトロリトロリと蜜を吐き、ずっと感じまくっていることを饒舌に語っていた。

 ベルトを外した状態で一度閉じ、ベルトの構成する楕円の形を覚える。
 ゆきのの腰周りをじっと見つめて、そこから彼女の腰の横断面を想像する。
 そしてまたフィッティング。

 ベルトの楕円と腰周りの楕円を比較し、肉が強く圧迫されている部分を記憶する。
 一度外して、麺棒にタオルを巻いたものを使って、この硬い硬いステンレスのベルトを丁寧に曲げる。
 再度フィッティングすると、ほぼ合うが、指を間に入れて全周の圧力をチェックすると、まだ精密に合っているとはいえない。

 また外してベルトの形を微調整して、またゆきのに装着する。
 この間、シールドは後ろからケーブルで繋がったまま尻の方へブラブラ垂れている。

 さらに微調整。

 またまた微調整。

 そしてやっと全周の皮膚への圧力が均等になるように調整できた。

 次にシールドの調整だ。
 ケーブルを尻の割れ目に食い込ませ、シールドに明いた幅1cmほどの細長い縦のスリットをゆきのの閉じたマソコに被せる。
「ひうっ!」
 ここで初めてゆきのは声を出した。
「大丈夫か?」
「冷たくて驚いただけ…… へいき……」
 しかし、シールドはまるで平らっぽくて、ゆきののオマソコのカーブにあわず、正面のロックに嵌合穴を重ねることもでしきない。

 腰のベルトはそのままに、シールドを麺棒を使って丸みをつける。
 再びオマソコをシールドで覆う。
 かなりいいが、まだカーブが合っていない。

 再度微調整。
 もうちょっとかな?

 再度微調整してみると、スリットの間からゆきののビラビラがむちゅっと搾り出され、垂れていた愛液も染み出て来た。
「あふっ……!」
 密着する感じがたまらないのか、ゆきのは艶かしい溜息を漏らす。

 そのまま少し引っ張るようにして、シールド上端の穴をベルト中央の嵌合部に重ねる。
 パチッと乾いた音がして、3つの部品がきれいに重なった。
「はァッ……!」
 ゆきのの興奮がさらに増す。

 3つの平たい板の重なりに浮きが無いことを確認し、俺は震える指で保護カバーのついた南京錠をつまみ、ロックピンの位置を合わせて嵌めた。

 まだ鍵は掛かっていない。

「ゆきの…… 鍵、掛けるぞ……」
「……うん…… はァッ……!」

 ゆきのの反応を見ながら、俺は指先で南京錠を保護カバーごと縦に押し潰した。

 ―― カチッ ――

 乾いた短い音を立て、ゆきのはまずセックスする権利を失った。

「はぁああああああ!! イキそう…… でもイケない……」
「大丈夫だ。まだイクことはできるんだ。この鍵は貞操帯からの離脱禁止とセックス禁止の鍵。ゆきのはもうずっと処女だ。お前や他人の意思に全く関係なく、物理的にセックスという行為に鍵を掛けられたんだ」
「ひいいいいい!!! あああああああ!!」

「さぁ、自慰防止板を合わせるぞ。これが本当の快感剥奪の鍵だからな。
「きいいいいいい!!」

 送られて来た時点で自慰防止板は合っていて、そこからシールドを調整してしまったので、自慰防止板はもう合わないはず。
 案の定、下の金具を合わせてみると、カーブがまるで合っていない。

 シールドと同様に麺棒でカーブを調整し、シールドに重ねてみる。
 シールドより僅かに浮くように設計されたそれは、カーブが合わないとゆきののビラビラを傷つけてしまう。

 何度も慎重に合わせ、側面から見て均等に1mmほど浮くように調整できた。
「あ〜あ〜あ〜う〜」
 ゆきのは調整の様子を見ながら、興奮をどこへ持って行ったらいいかわからないようだった。

 自慰防止板がシールドに明いた取り付け穴にぴったり合うことを確認してから、シールドの裏から留めピンを通す。
 ここへ自慰防止板を重ね、その上から中央のロック部と同じ保護カバーのついた南京錠で留めるのだ。
 そこまで準備してから一度自慰防止板を外す。

「とうとう本当に快感を剥奪される時が来たぞ」
「はアアアアアアア!!! いやあああ!」
「嫌なのか?」
「ちが、ウウ…… アアアア…… 絶叫して暴れたいのぉおお!!」
「フフフ、もういっぱいいっぱいなんだね、ゆきのは。最高にかわいいぜ。俺にとって憧れだったクラスの超美人同級生が、とうとう性の快感をすべて奪われるんだ。うれしいかい?」
「ハッ……! ハッ……! はふッ!! う、嬉しい……」

「じゃ、最後の儀式だ。俺をフェラでイカせてくれ。そして俺はゆきのを指や舌でイカせてやる。そして…… 封印だ」
「はふうッッ!! はい……」

 ゆきのはシールドのスリットからビラビラを出したまま、シートに跪いた。
 俺はズボンを脱ぎ、はちきろそうなチソコを取り出した。
「ああ……」
 俺のチソコを嬉しそうに眺め、口の位置を少し高く上げてから、はむっと先端を口に入れた。
「うっ……」

 ゆきのは歯が当らないよう注意しながら、両手を添えて先っぽを一心不乱に舐める。
 舌を回して絡めるという得意技を続けて使い、先端の鈴口から舌を差し入れた。
「オウッ……!」

 一瞬ビクリとして俺は腰を引いてしまった。
 さらに先をくるくると舐めまわしたあと、一定方向へ舐めはじめた。

 ズリズリ、ズリズリと何度も何度も舐める。
 ちょっと口に含んだりしながら、一定の刺激を忘れない。

 俺は内股がピクピクを痙攣してきた。
 これをゆきのはチェックしているらしく、更に強く速く舐め上げる。

「ウッ!!」
 腰の奥がカーーッと熱くなり、たまらずにドビュッと出した。
 それをゆきのがチューッと吸う。
 すさまじい快感の追加!

「あう!」
 ちうちうぺろぺろと完全に吸われ、やがてゆきのの口が離れると俺はドッと緊張から開放された。
 俺の精液をゴクリと飲み下したあと、ゆきのはゆっくり立ち上がった。

 今度は俺が跪いてゆきののオマソコを見る。
 スリットの間から搾りだされたビラビラは、狭いスリットに押され半ば強制的に閉じられていて、間からトロトロに愛液が溢れていた。
 その一番上には真っ赤な真珠がぷつっりと飛び出していた。

 その真珠にそっと舌を這わせる。
「ひゃうッ!!」
 舐め上げた瞬間にガクンと腰を引き、電気に撃たれたようにビクビクを痙攣するゆきの。
 続けて同じ様に舐め上げると、最初ほどではないが痙攣を繰り返しながら体がカチンカチンに硬くなってゆく。

 ビラビラを舌先で左右に分けるようにして愛液ごと舐め上げ、そしてクリトリスまで舐める範囲を拡大する。
 どんどん痙攣が強くなる。

 俺もゆきののビラビラ全体を口に含むように唇を押し付け、少し吸いながらチロチロと舐めた。
「たっ……だだしク…… 顔ひいて…… いやっ!イヤッ! いやああああああ!!!!」
 急に思いつめた口調になり、ぐぐーーーっと引き付けたかと思うとガクン!ガクン!と腰を暴れさせた。

「ああああああいいいいいいいいイクイクイク〜〜!! ンンンンン!!!」

 突然、口中が薄しょっぱくなった。
「やあああああ!」
 ゆきのがおしっこ漏らしたのだ。

 そのままゴクゴクと飲んでしまった。
 薄い塩水を飲んでる感じだった。

 最後にちゅっと吸い取って、俺は口を離した。
「ハァッ…… ハァッ…… 気持ちよかったよぉ…… でもバカバカバカ〜〜〜! 飲むなよぉ!」
「平気だよ。お前こそ俺の精液飲んだじゃないか」
「平気だよぉそんなの…… じゃ、キスしてよ。舐め取るから」
「ん…… 俺も舐め取るな」

 二人で唇を重ね、お互いの口の中を舐めあった。

 実際にはゆきのの唾液で流されていて自分の精液の味なんてしなかったが、もう何でも共有する気持ちに舌も心も蕩けそうだった。

 ぷぁっと口を離し、お互いを見つめ合う。

「じゃ、封印だ」
「うん……」

 俺は自慰防止板を取り上げ、股下にある浅いピンに溝を通し、上のピンに重ねる。
 ところが、これだと閉じたビラビラが内部で畳まれて、ゆきのがおしっこすると大変なことになりそうだ。

 ネットで見たように、ビラビラをちゃんと左右に拡げて分けて、オマソコの奥が細長く覗けるような状態にして自慰防止板を重ねた。

「はっ…… はふうっ……!! あああ、封印されちゃう!」
「そうだ、封印するんだ」
「とうとう…… とうとう…… あああああああ!!」

 俺は自慰防止板のロックピンに保護カバー付き南京錠を重ねた。

 ピンの位置を合わせ、指に力を入れる。

「いいか?」

「あああん…… ……うん……」



 ―― カチリ ――

 とうとうゆきのは、快感も檻の中へ閉じ込められてしまった。

「ふああぁあああぁぁああぁああ!!!!」

 イッた時のような震えが全身を駆け抜けているらしく、ゆきのは俺にガシッとしがみついたままガクガクブルブルと震えている。

「ハッ……! ハッ……! ハッ……! ああああううううう……! 抱いて……! 強く……!」

 俺が無言で強く抱きしめると、俺の腕の中でガクガク震えながら、ゆきのは次第に脱力していった。

 ほぼ全ての体重を俺に預けたゆきのは、やがてずり落ちるようにシートの上に座り込んだ。

「大丈夫か?」
「……うん…… しばらく…… こうしてていい……?」
「いいよ。俺、片付けるな」
「うん……」

 股を閉じて両足を外へ出した、潰れた正座のような格好でペタンと座ったまま、呆然とするゆきの。

 ゆきのをそのままに、俺はゆきの周囲のビニールシートを拭いたり、プラグを洗って片付けたり、貞操帯の箱を始末したりした。
 貞操帯の箱に同梱されていた説明書や納品書を取り出し、残った緩衝材を引っ張り出すと、大きな塊がゴトリと落ちた。

 貞操帯に興奮してすっかり忘れていた。
 特注した専用のアナルディルドーだ。

 直径4cm、長さが12cmほどある。
 尾部はくびれておらず、かといって平らに張り出してもいない。
 まるで日曜大工で取り付けるネジ式のフックのように、基底部から丸い輪が突き出ている。
 この輪は2mmほどの太さの金属の環で、2本のネジを外すと前後2つに分かれるように出来ていて、そこへ尻を通る太いケーブルを挟むようになっている。

 直径4cmで波打つ表面以外くびれもない、プラグ(栓)というよりまさにディルドー(張り型)なソレは、今までの拡張プラグなんか比べ物にならないほどズッシリと重く、巨大だった。

 これがゆきののあの輝くピンクの尻穴に刺さり、肛門を薄い輪ゴムのように拡げ、直腸の空間をプラスチックという異物でゴッテリ満たすのかと思うと興奮で気が遠くなりそうだ。

 貞操帯に慣れた後に続く楽しみを想像しつつ、そのディルドーを他のプラグと一緒に仕舞った。

「ハァ…… ハァ……」
 ビニールシートの上にへたりこんだゆきのは、やっと呼吸が整ってきたようだった。

「こういう時って、女の方が強いんだからぁ」
 独り言のようにボソリと呟いて、シートの上に立ち上がった。

「あうっ」
 ちょっとよろける。

「大丈夫か?」
「へ、へいき。 ……シャワー浴びてくる」
「ああ」
 ガサガサペタペタと歩いて、そのまま浴室へ入った。

 興奮の一度醒めたあとに見る、ゆきのの下半身にがっちり食い込む貞操帯は、本当に彼女の体を造り替えてしまったように見えて超エロかった。

 浴室内でゴトゴト音がする。
「うひー」
 中から妙な声が聞こえてきた。

「はーーあーー あーー あーー ふぅ〜〜〜〜〜〜〜……」
「何してんだよ」
 扉の陰から話かける。

「バカ、来ちゃダメ! おしっこしてんの!」
「お前、ヒトに飲ませといてまだ出んの?」
「あ!やあぁああ! こんどソレゆったらコロすぅー!! しょうがないじゃない、なんかまた溜まったのォ!」
 水洗トイレのザーッと流れる音がして、次にシャワーの水音が響き始めた。

「ひょほほほほほーーーい」
 また妙な声がする。

「何者? お前」
 扉の陰からまた声をかけてしまった。
「まだそこに立ってんのォ? えっち」
 俺は心配でたまらない自分の心を見透かされた気がして、急に気恥ずかしくなり居間に戻った。

 タオルをまとめたりバッグを整理したりしているうち、ゆきのが貞操帯一丁の姿のまま、髪をタオルで拭きながら戻って来た。
「ふぅー。やっと落ち着いた〜」
 ゆきのは自然な動作で自分のバッグから下着袋を取り出し、まずブラを着け、チロッと股間を覗き込んでから、タオルでパンパンと股間を叩き、それからショーツを穿いた。

「へへへへ、すっごいヘンなカンジ。水着の上から下着を着てるみたい」
 あとはまったく日常的な動作でTシャツを着て、デニム地のミニを穿いた。

「そうしてみるとまったく普通で、まさか貞操帯着けてるなんてわからないな」
「そう見える? なら良かった〜 だけど当事者にとっては違和感バリバリだよ?」
「そうだろうな」
「いや、でも、 ……でも…… なんかイイよ。すごい安心感があるよ。これは嵌めた人にしかわかんないだろうね」
「そういうもんかな」
「今日はもうおひらきでいいっしょ?」
「ああ、そうだな」
「なんか昼寝したいし、まず自分でいろいろ慣れてみて、それからただしクンに相談したい」
「うん」

 俺たちは部屋を完全に片付け、またゆきのの家の近くまで行って別れた。

 俺は手の中に握り締めた鍵の重みをヒシヒシと感じた。

 …………
  ネットで現代の貞操帯の存在を知ってしまった俺は、クラスで一番の美少女、
  小竹原 裄野(こたけばら ゆきの)に貞操帯を嵌めるところを勝手に妄想していた。…………
  ベルトの背中部分の中心から、美しい尻の2つの膨らみを黒く太い凶悪なケーブルが割り、
  股の下を潜(くぐ)る。黒く太いケーブルは股下で大きなしゃもじ状のプレートに繋がり、
  そのプレートが小竹原の大事な部分を覆い、腰ベルトの前部分に合わさる。
 …………
  小竹原はステンレスの拘束具で下半身を覆われ、まず本体によって秘所の幅が縦スジ1本分に
  制限され、男性を受け入れることも、オモチャをソコに挿入することも出来なくされる。
  それでもまだクリトリスはその縦の隙間から出ているわけで、そこを悪戯すれば自分では気持ち良くなれる。
  その自慰行為すら剥奪してしまう部品を縦スジの上から被せられ、小竹原は性器の自由を全て俺に奪われているのだ。
 …………
  ネットの話では、現実に装着している人は外面的にはほとんど問題なく暮らしているという。
  もし、小竹原の体に、本当に貞操帯が装着されているとしたら……
 …………
  定期入れの中に金メッキして赤いリボンをつけた貞操帯の鍵を入れ、俺は小竹原の前で取り出してニヤリと笑う。
  小竹原は青ざめ、俺に従順な表情になる。
  『神山(かみやま)くん、お願い、これ、外して…… エッチな気分が治らないのぉ……』

  俺はニヤリと笑って場所を人気のない場所に移し、小竹原にチソポをしゃぶらせる………………

 妄想はついに現実になってしまった。

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