檻姫
六 魔の張り形
手足のきつさの他に、ヒマで退屈になってきた。暇であることが、また余計に手足のきつさを意識させる。これは処刑であり、一種の拷問だから、こんなことは我慢せねばならないのだろう。あの王国の広場で見た娘もまた、こんな気分を経験したのだろうか。いっそ早めに狂ってしまえば楽なのか。
ふと視線を落とすと、自分の股が目に入った。
今はもう何も取り付けられていないので、見慣れた自分の割れ目が見えるだけだが、随分寂しい。なんと、薄くこぢんまりしながらも生えていた飾り毛が、きれいに剃り落とされている!
あまりの破廉恥な行為に、一瞬破裂しそうに血が昇ったが、虜囚である我が身を思い出し、そんな事すら勝手にされてもどうすることもできない我が身を情けなく思いながら、すぐに諦めた。
諦めると、急に股間が熱くなった。
自分で見つめている目の前で、割れ目の中央から、ほんの僅か、何かが顔を覗かせた。
これが、あの突起なのか?
バルベロッテに受けた仕打ちの事をを思い出すと、更に硬くなり、先端がよく見えた。
しかしズキズキと激しい痛みがある。
股間の割れ目の中央に、薄暗い牢に差し込む明かりでもはっきりわかるほどに、光り輝くピンクの尖りが見えていた。
ズキズキが強くなる。
ここも何か弄られてしまっているような気がする。
暇に任せて自分の身体観察をしていると、急に小用を催した。下に便壷がある安心感と、もう極限まで恥ずかしい排泄を見せてしまった諦めから、あまり抵抗なく用を足し始めた。
「はあああン!」
なんということだ!
小用を足すと、先ほど受けた数々のエレキの刺激と同じような快感があるではないか。
あの気を失ったほどの刺激に憧れて、もう出もしないのにキュッキュッと絞り出して見る。
ああああ、なんかきもちいい……
用が無いのに、お尻も窄めてみると、やっぱり同じ様にきもちいい……
手足の辛さも紛れる。
生まれて初めて、排泄以外の目的で股間のあちこちに力を込める。
これを自ら行っていることを誰かに見られたら、恥辱のために死んでしまうかもしれないほど恥ずかしい行為だが、暇と辛さを紛らわすために、知ってしまった以上もう止められない。
「ハアッ! ハアッ!」
口枷の穴から、獣のような声を漏らしながら、私は自らの股間を締め続けた。
しばらくそんなことをしていたが、絶望的に刺激が足りないということを思い知らされた。
目の前に突き出た、小さなピンクの真珠。
これに触れることができたらどんなに気持ち良いだろう。
檻に入れられて初めて、自由に動きたいと思った。
檻詰め処刑の影響なのか、まともな時よりもこらえ性が全く無くなっている。
自由になりたいと思い始めたら、もう我慢なんてできない。
「られかー! らひれはもらえんかー! ふこひれいい! らひれくれー」
恥も外聞も無く、出してくれと連呼する私。
何の返事も無い。
「らのむー! ふこひのあいられいい! りゆうにしれくれ!」
少しの間でいい、自由にしてほしい。
気持ちよくなりたい!
気持ちよくなりたいよ!
もう我慢できないよ!
私はこれがバルベロッテの策だということにも気付かず、未経験の愚かさ故、どんどん募る快感への欲望を鎮めることが出来なかった。
一度与えられ、それがもう二度と手に入らないと思い込んだ時の焦りは凄まじい。剣の上でのかけひきなれば、私とて誰にも負けぬつもりでいたし、そのような場面でも一度退いて機を待つくことぐらい、すぐに思いつく。しかし未知の快感に初めて染められ、その舞台で操られると、経験も策も無い私には抗う術が無かった。
「グスッ…… グスッ…… おれがいひまふ…… らひれふらはい……」
……
「グスッ…… グスッ……」
……
「おれがいひまふ…… らひれふらはい……」
……
「らひれふらはい……」
「グスッ…… おれがいひまふ…… らひれふらはい……」
呪文のように何度も何度も繰り返し、憔悴してグッタリした頃、足音が近づいて来た。
バルベロッテと男2人が牢内に入ってきて、涙でぐちゃぐちゃの私の前に立った。
「これはこれは姫様、檻からお出になって何をされるおつもりですかな? ククク……」
「ふこヒらけ、ここをハわりらいろだ」
「きもちいいのがお好きになられたのですか? ご自害されるよりも大事なことが出来たのなら、口枷をお外ししてもよろしいのですが」
そうだ…… 仮にこの領内で処刑されなかったとしても、おめおめ城には戻れない。
殺されるか、いずれ自害する運命なら、もう少しあの気分を味わいたい。
檻の奥でコクコクと頭を縦に振った。
男たちの手で口枷が外され、嵌みを抜き取られた。
「ぷあッ! かたじけない…… 笑われてもかまわぬ。きっとこの檻に戻るから、この牢内で少しだけ自由にさせてはもらえぬか」
私は恥を忍んで言った。
「自由になって何をされるおつもりですか?」
カーッと真っ赤になる。
「その…… あの…… 自分で慰めたいのだ……」
「ククク、それはできぬ相談ですな。しかし姫様がご興味をお持ちになったのは大変嬉しいことです。ですからこれを差し上げましょう。先ほどのエレキほどではありませんが、随分近い気持ちにはなりますぞ」
「え? い、いや! そのようなものは結構だ!」
檻の中の身動きできない私の肉体は、格子の隙間から手を突っ込む男たちによって易々と微妙に位置を変えられ、腰回りに鉄のベルトを巻かれ、その背中側から出た股間を塞ぐための鉄の棒を尻の下に回された。
バルベロッテが銀色に光る金属の棒を握っている。
その棒は、先が丸く尖り、周囲に不規則な疣が並び、途中に波型の複雑な凹凸が刻んである。
最初にここで話に聞いた、あの棒に違いなかった。
「嫌だってば……! ふああああ!」
トロトロのソコにその棒を押し当てられると、自由な口からあられもない嬌声が出てしまった。
「んくっ、んくっ、きつうい…… はあああ! やだ……ああああああ!!」
棒を女陰に押し込まれ、尻を回ったベルトで女陰を塞がれ、そのベルトは腰のベルトに錠前で留められた。
「これは銀製の特殊な張型です。効能は……もうお聞き及びですかな? クククク。そのベルトはこれが飛び出さぬように
するためのもの。ちゃんと排泄の邪魔にならぬ構造になっておりますのでご安心を。 では、ごゆっくり……」
男がビスケットのようなものを私の口の前に差し出す。それを口に入れてもらい、ボリボリと食べた。1枚、2枚、3枚食べた。小さい水差しのようなもので私に水を飲ませると、男達とバルベロッテは出て行った。
すぐさま体内に差し込まれた棒が気になりはじめた。ずっしりした銀の塊に見えたそれは、内部は空洞になっているのか、実際にはさほど重くなく、すぐに体温に馴染み、金属の異物感は消えた。
しかし……
放って置くと、棒の付け根側が細く絞られる構造になっているようで、私の穴の肉が自然に緩く締まる力で、少しずつ奥へと入ってくる。
同時に側面のイボイボが肉の内壁を擦り上げる。
そのイボが私の中のある点をコリッと掻いた瞬間、パアッと頭の中が明るくなるような快感が走った。
「はあああん!!」
すごい気持ちよさ。
しかしそれでは終わらなかった。その刺激を受けた私の肉は、私の意志などお構い無しに、突っ込まれた銀の棒をぎゅうんと握り締めた。
私の中の奥の子袋が、一瞬ぐいと下がるような動きをし、銀の棒を吐き出そうと収縮する。
ところが中くらいまで入りかけていた銀の棒は、勢い良く押し出されるが、出口のベルトに阻まれてコツンと止まる。するとまた肉全体の収縮で、棒は奥に引き込まれて行く。今度はうねりの弾みがついているので、最初よりも速く。するとまた中のどこかをイボが擦り、前より激しく棒を握り返す。
「はああああん!!」
そしてまた棒は押し出され、そしてまた中に引き込まれる。
私の女肉が勝手に棒を動かしている。
止められない。
どんどん気持ちよくなる。
あ、あ、あ、来た! ついに来た!
上り詰める!
さあ! さあ! さあ! あの頂点へ!
あれ?
一番気持ちよく握り締めた時、棒はスルリと抵抗の無い空間へ逃げてしまった。
これはきっと私が初心者のため、うまくコツを掴めなかったのだろうと思い、ゆっくり引き込まれ始めた周期から、再度気持ちを乗せ始めた。
肉壷内にたくさんの粘液が溢れ、さっきよりももっときもちいい。
引き込まれては押し出され、引き込まれては押し出され、快感の波が幾重にも襲う。
きもちいい……
きもちいい……
これなら……
あ!
あれ?
あ!いやあ!
最大の収縮に、いよいよ快感の頂点を極められると思った時、やっぱりヌルンと逃げられた。
どっと汗が出た。
ひょっとして、無限にこのままなのか……?
このままだった。
私はこの恐ろしい生き地獄に落とされ、そのままずっと生殺しのままにされた。
拘束され檻に詰め込まれていることなど忘れるほど、気も狂わんばかりの中途半端な快感を与えられ続けている。思考などとっくに停止し、ただイキたいとしか思わなくなった。
『おんなを…女を責められ…でも逝けない…そうして狂わされます…あれに耐えられる女はいない……』
『逃げるなら…この器具を入れられる前に…お逃げなさい……』
もう、手遅れだった。
クタクタで何も考えられなくなった頃、バルベロッテが来た。
私はもう抵抗力も思考力も無く、何もかもぐちゃぐちゃだった。
「イキたい…… イカせて……」
「これはまた姫様は随分と素直におなりですな…… では、最初に申し上げた奴隷剣士になって頂けるのなら、逝かせて差し上げます」
「奴隷……剣士…… どうすれば、良いのだ……」
「『奴隷』などと言葉が良くなかったですな。いやなに、私の傍に居て、常に護衛して下されば良いのです。いつでも姫様の大好きな剣と一緒ですよ」
「隙を見て…… 貴様を殺すやも知れぬぞ……?」
「ククク、姫様には私は殺せません。それに特別の甲冑を着て頂きますので、用の無い時は広間でお休み頂く事になりますから、その機会はありますまいな」
何か条件を付けられようとも、私にはもう選択の余地は無かった。
「わかった…… 奴隷剣士になろう」
私は快感の欲望に屈服した。
「ではお約束通り、逝かせて差し上げましょう」
「ああ、かたじけない……」
「私はあまり堕ち切って呆けた奴隷は好まないので、姫様には言葉遣いについてあれこれ申し上げませぬが、一応私こそが姫様を逝かせて差し上げることの出来る、唯一のマスターであると認識して頂けますかな?」
「……わかっている……」
「では失礼して……」
ベルベロッテが檻に手を入れ、私の腰ベルトの錠前を外して、股を覆う鉄のカバーを外した。
「あ! んっ!」
期待と興奮で締めた肉で、激しく押し戻され飛び出そうとする棒を、バルベロッテは手で受けて、優しく前後に出し入れする。敵の手で与えられるえもいわれぬ気持ち良さに、私の自我と尊厳がどんどん削られてゆく。
「おお、姫様のクリトリスは僅かの間に随分ご立派になられましたな。弄った甲斐があるというもの」
「な、なにをした……」
「殆んど何も? 御毛を除いて、皮を多目に剥かせて頂いただけです」
「そんな! 勝手に!」
「でもこうして、普通の何倍もの快感を受けられるのですぞ? そら!」
「ふわああああああ!!」
粘液をたっぷりまぶされ、指で直接『クリトリス』と言っていたそこを擦り上げられると、ついに求めていた刺激を貰うことができた。
「そこォ! それェ! いい! ああああ!」
じっくりたっぷり煮込まれ続けていた私は、欲しかった刺激を送り込まれ簡単に頂点に向かう。金属棒も、一番気持ちよく当たる所で、心おきなく締めつけることができて幸せだ。
「あああああ! イク!」
窮屈な全身を極限まで引きつけて、快感を身体の隅々まで染み渡らせる。
「んくゥ……」
波状に広がる快感の余韻に浸る。
……バルベロッテに逝かせてもらった……
興奮の頂点から降りて来る間も、バルベロッテは巧妙な手技で私の股間を丁寧に慰め続ける。
嫌だ……認めたくない。
でも、もうバルベロッテの技無しでは、私の心と身体の満足は得られないような気がした。