檻姫

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  十一 フルプレートアーマー  


 夕刻まで無駄な抵抗を繰り返し、役に立たないヘロヘロの素振りをしては、何度も何度もイッた。鉄仮面の中は涙と鼻水とよだれでぐちゃぐちゃだった。
 そのまま城の広間に戻ると、丁度夕食の時刻だった。枷に据えられ、羞恥の排便と給餌。

 餌が終わると昨晩の壁際の位置まで移動させられたが、今日は吊られなかった。そこに置かれた甲冑の残り部品が一つ一つ取り上げられ、次々に嵌められる。帷子スカートが一旦外され、まず下腹部を覆う部品が嵌められた。
 これで腹から背、そして尻やクリトリスまでがカバーされ、胸の部品と一体になった。胸当ての乳カップ部が装着され、ついに乳も隠れた。どの部品も密着度がかなり強く、あの狭い檻を思い出させる。両乳首の先とクリトリスの先に違和感を感じたが、この時はピアスの圧迫か何かだと勝手に思っていた。
 上腕も覆われ、肩当ても嵌められると、それらは最初から嵌めている腕や胸当て部と一体となり、上半身キツキツのまま肌が出ている所が無くなった。
 太腿も前後から完全に装甲され、最後にスカートが戻された。
 これぞフルプレートアーマー。
 全身隙間無く金属で覆われ、どの方向から矢を射掛けられても刺さる隙間はなく、精密なかたびら状の関節部はナイフの先すら入らない。帷子も一つ一つが堅固で精密なリングの組み合わせなので、帷子殺し専門の槍も突き通らない。
 私は戸惑っていた。
 重い。
 確かに重いのに、自分が着たことのあるどんな鎧よりも身軽に感じるのだ。
 そして、今までの鎧の、のしかかられるような違和感が無く、その…… あの檻のような…… 甘い密着感があるのだ。これは最初に手足の甲冑を着けさせられた時から感じていたが、全体を覆われてますますその密着度を実感する。

 モリス達が私にポーズを付け、関節部ごとに次々何かを締めて行くと、もう完全に身動きが取れなくなった。
 はうっ!
 これは…… 自由な形にさせられてしまうところが違うだけで、私はあの檻に入れられたのと同じなのか……?
 転倒防止のためか、背中のどこかに壁からのチェーンをゆるく繋ぐと、私は放置された。
 満足げにバルベロッテが前に立つ。
「エッス。剣の修練大儀であった。ゆっくり休め」
 昼間勝手にイッたことは咎められなかった。

 完全に全身を金属鎧で固定されてしまった。立ったまま眠るのは辛いが、力が全身に分散しているので、吊られて眠るよりは遥かにマシだった。
 しかし、今日はまた別の問題があった。

 快感が…… イクのが止まらない。

 自分の肉が、身体の奥で咥えた棒を、こね回し、なで回し、ちょうど良い瘤が当たる所でぎゅうと締め込む。深い絶頂は来ないが、代りに絶え間ない浅い絶頂が繰り返しやってくる。
 そして、乳首とクリトリスの違和感の正体に気付いた。
 鎧の内面に何か貼ってある。きっと麻布か何かの粗い繊維でケバの多いものだ。
 僅かな身じろぎで、悪魔的な触感を発生する。どっちへどう動いても、チクチクがら逃れられない。刺激で乳首もクリトリスもカチカチに尖ってしまって、ますます布で擦られる。
 嫌っ!
 だめっ!
 腰も胸も、勝手にもぞもぞ動いちゃう!
 やあああああ!
 また棒が蠢く!
 下腹部に力を入れれば入れるほど、中が擦られて快感の波が押し寄せる。こんな状態では当然バルベロッテを討つなどど考えることは出来ない。正気を保つだけで精一杯だ。

 深夜眠りに落ちると一応性感は消失するのか、ガーーッと一気に眠ることができる。眠りが浅くなるとまた緩くイキ続け。ドロドロの気分のまま朝を迎えた。このドロドロが私の日常になるなどとはついぞ思わずに。

 一旦フルアーマーから解放され、スカートだけ戻して、また排泄と給餌。シールドが開けられ、ぐちゃぐちゃに泣いて目脂の溜まった目を拭われ、鼻水を拭かれた。
 今日も自由行動だ。
 フルアーマーから解放されても、体内の金属棒やピアスの重さによって、私は快感の酔っ払いのままだった。気が触れないのが不思議だった。

 それでも正気の瞬間はやってくる。
 その時に剣の練習をするのだ。
 だがまた乳房が揺れ、クリトリスが引かれ、無様な絶頂を迎え、倒れ込む。
 そして夜は密着する甲冑を全部着けられ、抗えない快感の檻に閉じ込められて過ごす。
 体位は毎度変えられる。
 剣を持つポーズ。
 礼のポーズ。
 佇むポーズなど。
 しかし血の巡りの問題からか、ここ二日ほどは仰向けで寝かせてもらった。

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